鑑定デッチ上げ研究員が年末ひっそり退職していた!
2013年1月4日
掲載 和歌山カレー事件急展開か
こうなるとイチから洗い直す必要が出てくるのではないか。「和歌山毒物カレー事件」でヒ素の鑑定に関わっていた和歌山県警の担当者が、昨年暮れにひっそりと県警を辞めていたことが分かった。
「問題の人物は科学捜査研究所の主任研究員Aです。県警は有印公文書偽造の疑いなどでAを12月17日に書類送検し、Aは直後に依願退職しています。昨夏、鑑定書に所長の公印を無断で押していたことが発覚。鑑定結果も捏造(ねつぞう)していました。当初、捏造が確認されたのは10年5月から2年間の7件だけでしたが、その後の捜査で98年から03年にかけ、なんと19の事件で捏造していたことが分かりました。ヤバイのは、カレー事件のヒ素も鑑定していることです」(捜査事情通)
<19件の捏造が発覚>
県警はメディアに対し、「(研究員は)カレー事件に関わったが、捏造はしていない」と“火消し”に躍起だが、この研究員はほかの事件では、ヒ素鑑定を捏造したことを認めているという。
カレー事件は状況証拠だけで死刑判決が確定した異例の事件。ヒ素の鑑定結果が疑わしいとなれば、事件は根底からひっくり返る。取材を続けているライターの深笛義也氏が言う。
「判決の決め手になったのは、カレー鍋などに付着していたヒ素と、林真須美の兄が保管していたドラム缶のヒ素が“同一である可能性が極めて高い”という科学鑑定です。しかし、ヒ素については、ヒ素の入った箱がキッチンの目立つ場所に置いてあったなど、当初からいくつも不自然な点が指摘されていました。夫の林健治氏が『真須美は金にならんことはやらん』と繰り返し主張しているように、なぜ、殺害したのか動機も解明されていません。科捜研の捏造研究員の退職で、真須美弁護団の再審請求がますます強まるでしょう」
せめて再鑑定はすべきじゃないか。
毒カレー不正なし…捏造科捜研職員を書類送検へ
2012年8月21日(火)18:04
和歌山県警科学捜査研究所の男性主任研究員(49)による証拠品の鑑定結果捏造疑惑で、和歌山県警は、捏造が判明した8件について、研究員を虚偽公文書作成・同行使と有印公文書偽造・同行使の疑いで書類送検する方針を固めた。
研究員は「見栄えのよい資料にしたかった」と容疑を認めているという。
また、研究員は、1998年に和歌山市で発生した毒物カレー事件の鑑定にも関わっていたが、県警は調査の結果、同事件に関する不正はなかったと結論付けた。
捜査関係者らによると、研究員は2010年5月〜12年6月に担当した交通事故や無理心中、変死など7件の鑑定について、上司への説明資料を作成する際、過去の別事件のデータを流用した疑い。さらに、別の交通事故の鑑定に関わる書類1件について、無断で所長の公印を押して決裁済みを装った疑い。いずれも裁判の証拠には採用されなかったという。
科捜研 鑑定デッチ上げで再注目される毒カレー事件
<再審請求の行方はどうなる>
和歌山県警に激震が走っている。捜査で押収した証拠品を分析する県警科学捜査研究所(科捜研)で、男性主任研究員(49)による鑑定結果の捏造(ねつぞう)が発覚したからだ。主任研究員は、別の事件の鑑定データを流用したり、鑑定書に所長の公印を勝手に押したりする手口で鑑定結果をデッチ上げた。県警の捜査で、10年5月〜12年6月の間に少なくとも計8回の捏造が確認されたという。
捏造鑑定書が作られていたのは、交通事故や無理心中、変死などの事件。虚偽公文書作成・同行使容疑で捜査している県警は、これらの鑑定書について「内部の説明資料」「鑑定自体には問題なし」と平静を装っているが、とんでもない話である。
「科捜研の鑑定結果は、裁判で有罪、無罪を判断するキメ手となる“超一級の証拠”です。その証拠を捏造なんて前代未聞。郵便不正事件や小沢事件で発覚した検察の捏造調書と同じか、それ以上にタチが悪い。主任研究員は『見栄えのよい資料を作りたかった』と出来心を強調しているが、証拠品に対する意識が低過ぎる。主任がこんな認識では、組織全体で捏造が常態化していたとみられても仕方ありませんよ」(元検事の弁護士)
問題なのは、この捏造発覚が過去の重大事件にも影響を及ぼしかねないことだ。和歌山といえば、思い出すのは、98年7月の「和歌山毒カレー事件」だ。この事件では和歌山県警科捜研が当初、原因毒物を「青酸化合物」と誤鑑定する“大失態”を起こしていた。
「『ヒ素』と特定したのは、警察庁科学警察研究所(科警研)で、事件発生から9日後でした。この初動捜査の遅れが事件解明を困難にさせ、捜査の迷走を招いたのは間違いないでしょう。そのうえ、公判では、弁護人が『鑑定資料の収集、保管の過程がズサンで不透明』『保管や受け渡しの際の状況が、写真などの客観的証拠で保全されていない』と科捜研の不手際を批判しました。結局、事件は09年5月に最高裁で林真須美の死刑が確定=再審請求中=しましたが、状況証拠だけで死刑判決となった異例の事件だけに、今回の科捜研の捏造事件はカレー事件にも波紋が広がるかもしれません」(司法ジャーナリスト)
問題の主任研究員は、85年に技術職員として採用されたというから、カレー事件当時も在籍していたことになる。
今回の捏造発覚で、林真須美の弁護団は再審請求の攻勢を増すだろう。今ごろ、和歌山県警は頭を抱えているんじゃないか。
(日刊ゲンダイ2012年8月17日掲載)
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内容紹介 ◎ジャーナリスト 大谷昭宏氏推薦 白バイは“黒バイ”か 地方局記者が執念で迫る 「これです」 被告の支援者が数枚の写真を取り出した。 路面には黒々とした二本の筋。 裁判で有罪の決め手となった、スクールバスの「ブレーキ痕」だ。 「このブレーキ痕は、警察が捏造した疑いがあります。これは冤罪ではありません。警察組織の犯罪です」 ――二〇〇六年三月三日午後二時半頃、高知県旧春野町(現高知市)の国道五六号で、高知県警の白バイと遠足中のスクールバスが衝突し、白バイ隊員(二十六)が死亡。 バスの運転手、片岡晴彦さん(五十二)は現行犯逮捕された。 同年十二月には業務上過失致死罪で起訴され、翌二〇〇七年六月には禁固一年四カ月の実刑判決が高知地裁で下された。 その後、高松高裁、最高裁と判決は覆らず、二〇〇八年十月、片岡さんは獄中の人となった。 香川県と岡山県を放送エリアとする地方テレビ局「KSB瀬戸内海放送」。 同局の報道記者である著者のもとに突然、見知らぬ男性から電話が掛かってきた。 男性は、「この裁判は作られたものだ」と訴えた。 事件が発生した高知県のマスコミは、どこも耳を貸してくれない。 藁をもすがる思いで、かすかなつてを頼って県外の地方局の記者に連絡してきたのだ。 この一本の電話をきっかけに片道三時間半、著者の高知通いの日々が始まった。 法廷の場で結審されたとはいえ、不可解な点が多々ある高知「白バイ衝突死」事故。 本事件の闇を徹底的に追った渾身のルポルタージュ! ◎テレビ朝日『報道発 ドキュメンタリ宣言』の放送で大反響! |