++ 毒物カレー事件:林真須美被告が心境 来る4月21日最高裁判決 ++


2021.8.30 2021.7.8 2020.2.17 2009.4.19初版

毒物カレー事件:林真須美被告が心境 来る4月21日最高裁判決

<-- 前のページ
次のページ -->
ツイート

毎日新聞2009年4月19日 2時30分 更新:4月19日 2時43分
毒物カレー事件:林真須美被告が心境 来る4月21日最高裁判決

mainiti090419_s.gifmainiti090419.gif

毒物カレー事件:林真須美被告が心境 来る4月21日最高裁判決

 98年7月に和歌山市で起きた毒物カレー事件で殺人罪などに問われた林真須美被告(47)に対する上告審判決が21日、最高裁第3小法廷(那須弘 平裁判長)で言い渡される。林被告は1、2審で死刑判決を受けたが、一貫して無罪を主張。事件から10年9カ月を経て、司法の最終判断が下される。この判 決を前に、林被告は毎日新聞の記者と接見し「無罪に決まっているやん」「長かった……」「子供たちがいなかったらとっくに死んでる」などと心境を語った。 【銭場裕司】

 林被告は今月3日、大阪拘置所(大阪市)で記者と接見した。ピンクのジャージー姿で現れた林被告は「来てくれてありがとう」とアクリル板越しに笑みを浮かべ、逮捕時よりも少しやせた様子。体調を尋ねると、「いいわけないやん。死刑なんよ」と話した。

 判決への思いを聞こうとすると、質問を遮って「無罪に決まっているやん。そんなん私やってないから」と強い口調で訴えた。「長かった……。最高裁 は甘くないと言われるけど、私がやった直接証拠があるの? 自白もないでしょ。やってたらやったってとっくに言うてるよ」と早口でまくし立て、「私は人殺 しなんて嫌いやの。何とかしてよ」と繰り返した。

 1審で黙秘を貫いた心境を尋ねた。少し考えて「今になって1審が大事だったってことは分かる。だって、死刑になるなんて思わないじゃない」とみけ んにしわを寄せた。「誰でも現場を見れば分かる。刑事裁判は犯罪の証明があって罰せられるんでしょ」と司法への不信感をにじませながら、一方で、無罪判 決・釈放に向け準備をしているとも話した。

 話題が4人の子供に向かうと、表情ががらりと変わった。「子供がいないと駄目なの。子供たちがいなかったらとっくに死んでる」と涙ぐんだ。接見時 間が残り少なくなると「死刑ってそれなりに証拠がある人がなるんじゃないの。お願いやから分かってね」と改めて懇願し、手を振りながら扉の向こうに去って いった。

 ◇被害者の会会長「真実は変わらぬ」

 事件が死亡した4人の遺族や被害者に残した傷は今なお深い。

 長女幸さん(当時16歳)を失った鳥居芳文さん(63)は、判決を前に「どんな判決であれ受け入れる以外にない。何も変わらない」と語った。この 10年余、生活を維持するため必死だったという。妻百合江さん(58)は「事件当日を正確に、今日のことのように鮮明に思い出す」と話し「もし、1、2審 を覆すような判決だったら」と不安も漏らした。

 谷中千鶴子さん(72)は夫孝寿さん(当時64歳)を亡くした。悲しみが癒えることはなく「今は静かに待ちたい」と声を振り絞った。事件後に知り合い、支え合ってきた百合江さんと一緒に判決を傍聴するつもりだ。

 「カレー事件被害者の会」会長、浜井満夫さん(58)は「真実が変わることはない。自分の中で区切りをつけたい」と語った。

 ◇目撃証言など信用性が争点

 裁判では現場での目撃証言などが争点となった。林被告がカレー鍋に毒物の亜ヒ酸を混入したことを示す直接的な証拠はなく、検察側は「鍋のそばに1 人でいた林被告が、のぞき込んで湯気をかぶった」との目撃証言や、関係先にあった亜ヒ酸の鑑定など状況証拠を積み重ねて立証を目指した。弁護側はいずれも 信用性を争った。1、2審は検察側主張を採用して「亜ヒ酸を混入する機会があったのは林被告しかいない」と結論付ける一方、動機は不明とした。

 上告審で弁護側は改めて「目撃されたのは林被告ではなく第三者の可能性がある」と主張。「被告には動機が全くなく、有罪の根拠とされた証拠は信用 できない」と訴えた。これに対し検察側は「犯人は別にいるとの弁護側主張は根拠のない憶測に過ぎない」と上告棄却を求めている。

 ◇ことば 和歌山毒物カレー事件

 98年7月25日、和歌山市の園部第14自治会の夏祭りで、主婦らが作ったカレーを食べた67人が急性ヒ素中毒を発症し、うち4人が死亡した。県 警は同10月、知人男性に対する殺人未遂容疑などで林真須美被告を逮捕。同12月にカレー事件の殺人・殺人未遂容疑で再逮捕した。

<-- 前のページ
次のページ -->

カテゴリ_毒物カレー事件
 ■ あれから23年、和歌山毒物カレー事件 〜証拠捏造が暴かれた --> こちら 2021年8月30日 新着記事
 ■ 【 えん罪事件 】和歌山毒物カレー事件 〜データ捏造も厭わなかった --> こちら 2020年1月11日
 ■ 【 刑事司法の現場 】推定有罪原則で動いている 〜和歌山カレー事件ほか --> こちら 2013年9月24日
 ■ モリブデンや鉄の分量が違う、まったくの「別物」 〜和歌山毒物カレー事件 --> こちら 2013年5月21日 ご本が出版されました
 ■ 毒カレー事件:自宅と現場ヒ素別物 「成分に差」と弁護団主張 --> こちら 2013.3.10初版
 ■ 和歌山県警科捜研・鑑定デッチ上げ 〜和歌山毒物カレー事件への関与はいかに --> こちら 2017.4.18初版
 ■ じつに妙な事件である 〜警察、検察も力不足だった、最高裁のコメントもオカシイ〜 --> こちら 2009年4月23日
 ■ 死刑判決 和歌山毒物カレー事件 --> こちら 2019.9.20 2013.3.10初版
 ■ 毒物カレー事件:林真須美被告が心境 来る4月21日最高裁判決 --> こちら 2009.4.19初版
 ■ 和歌山毒物カレー事件 〜4月21日、最高裁判決 --> こちら 2009年4月7日
 ■ 倒錯した論理、詭弁を弄する裁判官  国民が不幸になるだけ --> こちら 2009年1月16日
 ■ 信号無視で交差点に突っ込んだことにされた 〜埼玉・吉田事件〜 --> こちら 2009年3月1日
 ■ 最高裁 科学的合理性にきちんと立ち向かえるか --> こちら 2008年7月26日
 ■ 和歌山毒物カレー事件 あれから10年 --> こちら 2019.9.20 2009.4.21 2008.7.26初版
 ■ 人を助けもするが、凶器にもなる テレビなどマスコミ --> こちら 2008年2月27日

冤罪のもくじへ
ツイート


このページとは関係がなく恐縮ですが・・・
【お知らせです】
KSB瀬戸内海放送・山下洋平氏のご本が出版されました。只今、アマゾンにて先行予約受付中です。

『 あの時、バスは止まっていた 』 高知「白バイ衝突死」の闇


リンク先 ↓ 

aonotokiBusTomateita_s2.jpg

aonotokiBusTomateita.jpg

著者:山下洋平氏
単行本: 256ページ
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2009/11/16)
ISBN-10: 4797353899
ISBN-13: 978-4797353891
発売日: 2009/11/16

アマゾン担当者が一足先に読んでくれて、気に入ってくれた。
そして、発売前にもかかわらず「話題の新刊ノンフィクション」としてカテゴリの最上段に据えてくれて、各書籍とリンクして紹介されるように異例の販促体制をとってくれた。--> こちら

話題の新刊ノンフィクション

あなたはどう判断する?
バスは止まっていたのか、動いていたのか?
バスに白バイが追突し白バイ隊員は死亡、そしてバス運転手は逮捕された──
しかし、バスの乗客は「バスは止まっていた」と証言、一方警察は「バスは動いていた」と主張。どちらが事実なのか?
運転手は無実ではないのか?
警察は事件を捏造したのか?
謎の多い事件の闇に鋭く迫ったルポルタージュ 『あの時、バスは止まっていた』。
これを読んだあなたの意見が事件の謎を明かす一歩となるかもしれない。


内容紹介
◎ジャーナリスト 大谷昭宏氏推薦

白バイは“黒バイ”か
地方局記者が執念で迫る

「これです」
被告の支援者が数枚の写真を取り出した。
路面には黒々とした二本の筋。
裁判で有罪の決め手となった、スクールバスの「ブレーキ痕」だ。

「このブレーキ痕は、警察が捏造した疑いがあります。これは冤罪ではありません。警察組織の犯罪です」

――二〇〇六年三月三日午後二時半頃、高知県旧春野町(現高知市)の国道五六号で、高知県警の白バイと遠足中のスクールバスが衝突し、白バイ隊員(二十六)が死亡。
バスの運転手、片岡晴彦さん(五十二)は現行犯逮捕された。
同年十二月には業務上過失致死罪で起訴され、翌二〇〇七年六月には禁固一年四カ月の実刑判決が高知地裁で下された。
その後、高松高裁、最高裁と判決は覆らず、二〇〇八年十月、片岡さんは獄中の人となった。

香川県と岡山県を放送エリアとする地方テレビ局「KSB瀬戸内海放送」。
同局の報道記者である著者のもとに突然、見知らぬ男性から電話が掛かってきた。
男性は、「この裁判は作られたものだ」と訴えた。
事件が発生した高知県のマスコミは、どこも耳を貸してくれない。
藁をもすがる思いで、かすかなつてを頼って県外の地方局の記者に連絡してきたのだ。

この一本の電話をきっかけに片道三時間半、著者の高知通いの日々が始まった。
法廷の場で結審されたとはいえ、不可解な点が多々ある高知「白バイ衝突死」事故。
本事件の闇を徹底的に追った渾身のルポルタージュ!

◎テレビ朝日『報道発 ドキュメンタリ宣言』の放送で大反響!
  
    ■ 耐震偽造で新たな展開になっています ご興味があればごらんください --> まとめページをアップ   2006.10.20
inserted by FC2 system