++ 最終弁論2 検察による謀略事件 ++




2012.3.19初版

最終弁論2 検察による謀略事件

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031912300006-n1.htm
花粉症!? 目や鼻をこする小沢被告 「事件は妄想から始まった」
2012.3.19 12:28 [小沢被告公判 最終弁論]

自宅を出る民主党の小沢元代表=19日午前8時37分、東京都世田谷区

 (10:00〜11:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判が19日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。弁護側による最終弁論があり、結審する。午後には小沢被告本人による最終の意見陳述も行われる予定だ》
  《小沢被告は意見陳述で重ねて潔白を主張する予定で、政界の実力者が裁かれた法廷は、初公判から約5カ月を経て、最終局面を迎える》
  《「不合理な弁解を繰り返し、反省の情はない。規範意識は著しく鈍磨しており、再犯の恐れは大きい」と、検察官役の指定弁護士は9日の論告求刑公判で、禁錮3年を求刑している》
  《石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=ら元秘書が、政治資金収支報告書の提出前に小沢被告へ「報告し、了承を得た」とする捜査段階の供述調書など、元秘書と小沢被告の共謀を裏付ける直接証拠のほとんどは採用されていない。弁護側にとっては有利となる展開だ》
  《一方、指定弁護士側は小沢被告が土地購入に際して銀行の融資書類に自ら署名した事実や、資金の流れといった客観的事実を列挙。また、証拠採用された「平成17年分収支報告書の内容を小沢被告に報告した」とする池田光智元私設秘書(34)の調書を基に「16年分についても報告・了承があったことが認められる」とし、「秘書が独断で虚偽記載をすることはない」という当初の構図を維持している》
  《法廷は地裁最大規模の104号。小沢被告が入廷する。濃紺のスーツに水色のネクタイ。左の襟には議員バッジを付ける。入廷の際に一礼すると、再び裁判長に向かって深く一礼した。女性弁護士の隣の席に座った》
  《小沢被告はときおり鼻と目をこするなど、体調がすぐれない様子だ。花粉症なのだろうか》

 裁判長「それでは開廷します」

  《「無罪請負人」の異名を持つ弘中惇一郎弁護士が立ち上がり、最終弁論の朗読を始める》

 弁護人「東京地検特捜部は被告に対し、ゼネコンなどから違法なカネを受け取ったのではないかという根拠のない妄想を抱いて、収賄の嫌疑をかけ、大規模な捜査を行ったものの、結局、嫌疑を裏付ける証拠を得ることができず敗北した」
  「本件は、その残滓(ざんし)である」

  《冒頭から特捜部批判を繰り広げる弁護側。今回の事件を特捜部の「妄想」「敗北」「残滓」と強い批判の言葉を連ねた》

 弁護人「残滓であるとは、一つには本件が特捜部の想定した収賄事件としてでなく、収支報告書に関する政治資金規正法という形式犯としてしか起訴できなかったということである」
  「残滓であることのもう一つの意味は、検察官が想定したゼネコンなどからの不正な金銭収受が存在しないことが、本件が成立しえないことを明らかにしているということである。妄想から始まった事件は最後まで実在しないのである」

  《弘中弁護士はここまで一気に読み上げると、ゼネコンとの関係について説明する》

  弁護人「特捜部は被告がゼネコンなどから違法に金銭を受領しているとの妄想にもとづき、全国から検事を動員し、建設業者らから徹底的な事情聴取を行った。まさに『特捜部と小沢との全面戦争』であった」
  「しかし、ゼネコンからの不法な金銭受領を裏付けることはできなかった。かろうじて供述を得ることができたのは『水谷建設からの1億円』だけであった。だが、これとて、最初の5000万円を受け取ったとされる石川の取り調べに当たった特捜部の□□副部長(法廷では実名)も、○○検事(同)も『あれはないんじゃないか』と心証を抱くような、事実として確認できたとは到底言い難いものであった」
  「特捜部は被告から(石川議員らが)受け取った4億円の出所に後ろ暗いところがあり、具体的には水谷建設からの1億円が含まれている可能性があるかのような取り調べを行った」
  「特捜部があえてこのような主張を行ったのは、石川らによる虚偽記入・不記載は被告から受領した4億円が違法なものであることを隠蔽しようとして敢行された、という動機が存在するかのように装うためであった」

  《元秘書3人の1審判決では、「水谷建設からの裏献金1億円」や、それを隠す目的での虚偽記載が認定されているが、弁護側はこれを否定、強気の姿勢を見せる》

 「4億円の原資が違法なものであり、そのためにその存在自体を秘匿しなければならなかったということを指定弁護士は何ら立証していない。すなわち、本件裁判において、この4億円は被告が適法に所持していたものと取り扱われることになる」

  《「本件裁判においては」とただし書きはついたものの、弁護側は続ける》

 弁護人「被告が適法に所持していた4億円の存在を秘匿するため、石川らがあえて違法な虚偽記入を行ったとしても、何も得られるものはなく、違法行為に手を染める必要性は皆無である」
  「指定弁護士による起訴は、『動機のない犯罪』が行われたとするものであり、不合理極まりないものである」

 《「動機なき犯行」との主張を展開する弁護側。続いて、指定弁護士側が共謀共同正犯が成立すると主張した際に引用した最高裁判例である「スワット事件」についての解釈を述べる》

 弁護人「指定弁護士はこの決定を引き合いに出し、『実行者の犯行を止めることができる地位にいるものは、実行者が行う犯行を確定的に知って、これを容認し、実行者の犯行によって利益を受けるという関係にあるときは…』」
  「『共謀の日時場所を特定した謀議行為を認めることができず、実行者の行為についての認識が概括的にとどまっている場合でも、共謀共同正犯者としての刑責を負うことが明らかになった』として、本件でも共謀共同正犯が成立すると述べた」

 《弘中弁護士はこれに対して反論する》

 弁護人「あたかもスワット事件の最高裁決定が、明確な謀議がなくても共謀共同正犯が成立する場合についての一般的な要件を示したかのような指定弁護士側の主張は、決定の趣旨を歪曲(わいきょく)して主張するものであり失当である」
  「スワット事件と本件とでは、事実関係が全く異なるのであって、共謀共同正犯が成立するということは到底できない」

 《体調が悪そうな小沢被告。ハンカチを口にあて「ゴホン、ゴホン」と遠慮気味に2度せき込むと、丁寧にハンカチを折りたたみ、目元を拭いたあと、ポケットにしまった。弘中弁護士はスワット事件との違いを説明している》

  弁護人「本件においては、収支報告書の虚偽記入が『常態化していた』という事実はなかったのであり、この点がスワット事件と本件との決定的な差異である」
  「スワット事件と本件とでは、過去に同様の違法行為が反復継続されていたか、被告と秘書らが終始行動をともにしていたか、秘書らの行為によって被告が直接的な利益を受けたかといったさまざまな点において事実関係が大きく異なる。被告に共謀共同正犯が成立する余地はない」

 《さらに証拠によって明らかになった、具体的なシーンについても、共謀関係が成立しないとする主張を行う》

 弁護人「(問題の不動産の公表をずらすことについて)池田が石川から被告の了承を得ていると聞き、被告に対して平成17年分の支出に本件土地の代金を計上していると説明して、被告が『ああ、そうか』と述べたと仮定しても、その発言はむしろ関心の低さを示しているとも受け取れる」
  「指定弁護士の主張は失当であり、被告が共謀したと認定する余地はない」

 《ここで弘中弁護士は一息つき、ペットボトル入りのお茶を飲む。「ぐびぐび」という音がマイクを通じて法廷に響く。そして4億円の原資についての説明を始める》

 弁護人「被告は法廷で4億円の原資について、具体的に詳しく説明している」
  「大半は両親からの金銭および、不動産の相続によって取得したもの。加えて議員歳費や著書の印税が原資だというものである」
  「保有していることを知られたくないような資金があった場合には、これを不動産購入費に充てるなどということは極めて不合理なことである」

 《小沢被告は引き続き体調が悪そうだ。梅干しを口に含んだような険しい表情を浮かべ、弁護側の主張に聞き入っている》


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--> その3へ続く

   
公判の記録(NHK) もくじ
   ■ 小沢氏“天下国家に全力集中” (動画あり)
   ■ 小沢氏 4億円は“相続など” (動画あり)
   ■ 小沢氏“政治以外は秘書に” (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判 資金出所などが焦点に
   ■ 小沢元代表裁判 被告人質問へ (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判(1)秘書との関係は
   ■ 小沢氏裁判(2)土地取引について
   ■ 小沢氏裁判(3)4億円出どころは
   ■ 小沢氏裁判(4)銀行融資について
   ■ 小沢氏裁判(5)虚偽記載の指示は
   ■ 小沢氏裁判(6)捜査の影響は
   ■ 小沢氏裁判(7)協議や報告はない
   ■ 小沢氏裁判(8)規正法への認識は
   ■ 小沢氏裁判(9)不動産について
   ■ 小沢氏裁判(10)土地購入の経緯
   ■ 小沢氏裁判(11)“秘書の裁量”
   ■ 政治資金報告の姿勢など質問  (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判(12)現金受け渡しは
   ■ 小沢氏裁判(13)銀行取り引きは
   ■ 小沢氏裁判(14)金の取り扱い
   ■ 小沢氏裁判(15)秘書は“家族”
   ■ 小沢氏裁判(16)4億円の金利は
   ■ 小沢氏裁判(17)供述の“変遷”
   ■ 小沢氏裁判(18)情報公開の姿勢
   ■ 小沢氏裁判(19)収支報告見ない
   ■ 小沢氏裁判(20)個人口座は
   ■ 小沢氏裁判(21)4億円の返還
   ■ 小沢氏裁判(22)法律を巡って
   ■ 小沢氏裁判(23)土地について
   ■ 小沢氏裁判(24)調書の内容
   ■ 小沢氏裁判(25)裁判官の質問
   ■ 小沢氏裁判(26)手形のサインは
   ■ 小沢氏裁判(27) 融資の認識は
   ■ 小沢氏裁判(28)“私の責任”
   ■ 小沢氏裁判(29)何ら不正ない

    ■ 小沢一郎氏の裁判 〜江川紹子さん傍聴記 --> こちら

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