++ 最終弁論1 検察による謀略事件 ++



2012.3.19初版

最終弁論1 検察による謀略事件

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120319/trl12031914440009-n1.htm
土地取得のずれは石川議員の「ドタバタ」が原因「周到な準備、ありえない」
2012.3.19 14:42 [小沢被告公判 最終弁論]

自宅を出る民主党の小沢元代表=19日午前8時37分、東京都世田谷区

(11:00〜11:55)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる虚偽記載事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判は、小沢被告の弁護士側による最終弁論が続けられている》
  《小沢被告は時折、目の前の机に置かれた弁論要旨に視線を落としながら、読み上げを行う弘中惇一郎弁護士の言葉にじっと耳を傾けている》
  《弘中弁護士は立ち上がり、弁論要旨を読み上げている。内容は、石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=ら元秘書の、土地購入の手続きや収支報告書作成に関する一連の行動についてだ》

 弁護人「平成16年と17年の記載はいずれも政治資金規正法にのっとったもので、虚偽記入や不記載とされるべきものはない」
  「仮に問題になりうるとしても、石川の行動は当初からのもくろみに基づくものではなく、その時々の状況の変化に応じた行き当たりばったりのものだった。回避しようと少しでも思えば、容易に達成可能なものだった」
  「(所有権移転の日を延期した)『期ずれ』は契約段階から支払日を16年中でなく、17年にすれば何の問題も生じなかった。収支報告書に被告からの借り入れを記載したくないと考えれば、容易にできた」

  《弘中弁護士はゆっくりと朗読を続ける。小沢被告は落ち着いた様子で聞いている》

  弁護人「石川の行動は、取り調べた○○検事(法廷では実名)からも『もっとやりようがあったんじゃないか』といわれるほど、無計画かつ場当たり的なものと理解されていた。このようなドタバタぶりをみていれば、指定弁護士のいう『周到な準備と巧妙な工作』などは存在しないことは明らかであり、石川に犯罪を行う意図はなかったことを物語っている」

  《弘中弁護士は石川議員の行動を『ドタバタ』と表現。『当初からの意図、計画に基づいて不動産の取得を17年にずらした』という、指定弁護士側の指摘は事実ではないと説明した。また、登記を先送りしたことも、元秘書の樋高剛衆院議員(46)から『政治的にどのような動きがあるか分からないから、時間的に余裕があったほうがいいのでは』と聞かされたからだ、とした》

 弁護人「石川はかねてから助言を受けていた樋高議員からそのようなアイデアを出されたため、これに従うことにした」
  「土地の取得は登記制度がある限り、公表され、隠すことはできない。政治団体の場合には土地取得の時期によって何年分の収支報告書に掲載されるかが決まるが、それだけのこと。したがって政治的判断として、時間的余裕を考えただけで、永続的に隠そうとしたわけではない」

  《ときおり、小沢被告は顔をしかめるなど、疲れた表情を見せている。弁護側は秘書の裁量や自律性について話題を変えた》

  弁護人「石川を含む秘書は、被告が政治活動を十全に果たしうるようにするのが職務であり、相当程度の裁量が認められていた」
  「16年10月29日、銀行から被告の口座に4億円から利息分約450万円を天引きされた額しか振り込まれていなかったのに、(石川議員は)被告口座から陸山会口座に4億円を送金している」
  「この約450万円については被告が負担していることになるが、このことについて石川は事前に被告に報告や承諾を受けてはいなかった。石川はこの行為を独断で行ったのである」
  「(石川議員は)利息を補填(ほてん)しなくてはいけないと考えていたが、実際には17年7月に事務所を辞めるまで、何らの手当てもしていなかった。このように、石川は、普通の国民であれば年収に当たるような額を無断で引き出し、陸山会に振り込んでいる。石川は被告から高度の信用や信頼を勝ち得ていたため、被告の了解がなくとも、独自の判断で動かしたのである」

  《このあと、弘中弁護士は、秘書が相当な裁量を与えられていた事実のひとつとして、小沢被告の携帯電話の処理を例にあげた》

 弁護人「石川は被告の携帯電話を管理していたが、その取り次ぎについては、『余計なことは取り次ぐな』と指示を受けていた。この指示は厳格に守られることが期待されており、現に石川は取り次いで叱責されたこともある」
  「被告の携帯電話を知っている人は近しい人と想定される。しかし、そのような電話でも、石川は自分で判断して『余計なものは取り次がない』ことをしなければいけなかった。このように被告を煩わさせる、あるいは無駄な時間を費消させることがないようにしていた」
  「このように、石川には相当の裁量が認められており、被告の利害に関することであれば、その全てを報告し、判断を仰いでいたかのように述べる指定弁護士の主張は失当である」

  《さらに弘中弁護士は、登記の時期をずらしたことについて、石川は2カ月後に確実に本登記になると考えており、『この程度は秘書の裁量』と考えていても不自然ではないと指摘。指定弁護士側の『10月28日に16年分収支報告書に記載しない意志を固めた』という指摘についても、何ら指定弁護士側の立証がないとし、小沢被告と石川議員に共謀関係はないと断じた》
  《つづいて、石川議員の後任として秘書になった、池田光智元秘書と石川議員との間に行われた引き継ぎについて言及した》

 弁護人「石川は池田にとって上下関係が非常に厳しい体育会系の政治サークルの4つ上の先輩で、『雲の上の存在』であり『伝説の人』であった。池田にとって石川は気安く話しかけたり、相談したりできる存在ではなかった」
  「石川は当時、次期衆院選の民主党公認候補に決定しており、選挙対策に多忙で非常にぴりぴりしていた。石川は『心ここにあらず』の状態で、池田への引き継ぎも不十分なものになっていった」

  《池田元秘書は、石川議員からの引き継ぎをノートにメモしていたという。弘中弁護士はそのノートを『池田ノート』と呼び、その内容にふれながら、何が引き継がれ、何が引き継がれていなかったのかを明らかにしていく》

 弁護人「池田としては口頭で言われたことをメモにとるということで手いっぱいで、後々起こることを予想して問い返すほどの余裕もなかった。石川が退職する(17年)7月に、池田はまとめて聞けるよう、質問事項をまとめていたが、これも石川と池田の『微妙な距離感』が背景にあった」
  「石川は、被告の支援者との関係や接し方など、人間関係に関する引き継ぎは事細かに教えてくれたが、事務処理関係に関する引き継ぎは雑だった」
  「池田ノートには被告からの4億円を収支報告書に記載していないことについてはどこにも記載されていない。これは、石川、池田間で明確に引き継がれていなかったことを裏付けるものである」

  《池田ノートには、定期預金の原資が小沢被告からの4億円であることや、4億円の返済方法や返済時期の記載がなかったという》

 弁護人「このことは、当時、石川も『先生からの4億円があるからな』と話した程度で、引き継ぎといえるほどの詳しい話はなかったことを裏付けている」
  「池田は『(『住』を『○』で囲った)マルジュウと記載された入金については気にしなくていいから』と石川から言われ、当時は被告からの4億円であるとは気づかなかった」
  「池田は16年中に支払われた土地代金を17年分の収支報告書に計上するよう石川から引き継ぎを受けていたが、話しぶりは何か普段と違うようなことはなく、当然の処理で問題がないという印象だった」 
  「池田は登記を17年1月7日にした詳しい事情は聞かされていない。池田が知る事情は所有権移転登記がされたのは、1月7日ということであり、その日にあわせて土地代金を計上するという事実のみである。池田には、所有権移転登記が実態を欠く虚偽の登記であるという認識は全くなかった」

  《弘中弁護士は、池田元秘書も石川議員同様、小沢被告に報告しなかった理由について、こう述べた》

 弁護人「所有権移転の時期を変更したことは石川時代のことであり、池田が改めて被告の了解を得るべき事項ではない」
  「そもそも、政治家の秘書の役割は、政治家を政治のことに専念させることにある。そして、被告の頭の中には、常に政治や選挙のこと、国会運営のことで頭がいっぱいだったのであり、政治団体の会計処理を始め、後援会の事務処理などについてはもともと関心のない、あるいは関心の極めて薄いことだった」
  「被告は、各政治団体の収支報告書には全く関心がなく、報告など受けていなかった」

  《弘中弁護士が『ここがきりがいいので…』と告げると、大善文男裁判長が休廷を告げた。再開は午後1時半からだ》
  《まず、傍聴人の退廷をうながす大善裁判長。小沢被告は休廷が告げられても表情を崩すことなく、席に座ったまま、じっと前を見据えていた》

--> その2へ続く

公判の記録(NHK) もくじ
   ■ 小沢氏“天下国家に全力集中” (動画あり)
   ■ 小沢氏 4億円は“相続など” (動画あり)
   ■ 小沢氏“政治以外は秘書に” (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判 資金出所などが焦点に
   ■ 小沢元代表裁判 被告人質問へ (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判(1)秘書との関係は
   ■ 小沢氏裁判(2)土地取引について
   ■ 小沢氏裁判(3)4億円出どころは
   ■ 小沢氏裁判(4)銀行融資について
   ■ 小沢氏裁判(5)虚偽記載の指示は
   ■ 小沢氏裁判(6)捜査の影響は
   ■ 小沢氏裁判(7)協議や報告はない
   ■ 小沢氏裁判(8)規正法への認識は
   ■ 小沢氏裁判(9)不動産について
   ■ 小沢氏裁判(10)土地購入の経緯
   ■ 小沢氏裁判(11)“秘書の裁量”
   ■ 政治資金報告の姿勢など質問 (動画あり)
   ■ 小沢氏裁判(12)現金受け渡しは

   ■ 小沢氏裁判(13)銀行取り引きは
   ■ 小沢氏裁判(14)金の取り扱い
   ■ 小沢氏裁判(15)秘書は“家族”
   ■ 小沢氏裁判(16)4億円の金利は
   ■ 小沢氏裁判(17)供述の“変遷”
   ■ 小沢氏裁判(18)情報公開の姿勢
   ■ 小沢氏裁判(19)収支報告見ない
   ■ 小沢氏裁判(20)個人口座は
   ■ 小沢氏裁判(21)4億円の返還
   ■ 小沢氏裁判(22)法律を巡って
   ■ 小沢氏裁判(23)土地について
   ■ 小沢氏裁判(24)調書の内容
   ■ 小沢氏裁判(25)裁判官の質問
   ■ 小沢氏裁判(26)手形のサインは
   ■ 小沢氏裁判(27) 融資の認識は
   ■ 小沢氏裁判(28)“私の責任”
   ■ 小沢氏裁判(29)何ら不正ない

    ■ 小沢一郎氏の裁判 〜江川紹子さん傍聴記 --> こちら

冤罪のもくじへ

inserted by FC2 system