まず、最初に ■弁護側が主張する事故状況と、■警察・検察が主張する事故状況が、真っ向から食い違っている現実がある。高知白バイ事故では、弁護側の主張や証拠、証人の証言をことごく無視したために、事故現場の状況と裁判で認定されたさまざまな状況が著しく乖離してしまった。
そして、裁判では後者の衝突ストーリーが100%採用され、前者の主張は完全に否定された。
ここでは、その後者のストーリーを検証して「本当に事故状況が再現できるのか?」を判断する。
その結果、現場に残された状況と食い違いが出てくれば「作り話である」といえるというスタンスで進めている。
その前に、整理しておかなければならないことがある。警察・検察が主張している状況のなかでも2通りの事故状況が生じる現場見取り図と目撃証言がある。
しかし、そのようなひとつの事故状況にならない矛盾があるのにかかわらず、両方ともが裁判で認定されているので混乱に拍車がかかっている。
その矛盾に気がついてないのか、はたまた無頓着になっているのかは不明だが、両方を混ぜてはひとつの事故状況にならないため、どちらからに決める必要がある。
その2つとは、■現場見取り図から読み取れる事故状況と、■目撃隊員の証言からみえる事故状況である。
このサイトでは数字がはっきり明示されている「現場見取り図」の方を警察・検察が主張する事故状況として検証している。この考え方はブログ、このサイトにかかわらず全編で一貫させている。
もう少し具体的にいうとバスの出発タイミングが明確になっているのが「現場見取り図」の方で、目撃隊員の証言はあやふやなのでそれでは事故ストーリーが確定できないからである。
ほんとうなら、裁判に臨む前に警察内部で衝突ストーリーを統一しておくべきだったが、杜撰のままで証言したので2重の意味で矛盾が露呈している。
物理的な位置 | 説明 | 数値 | スピード |
---|---|---|---|
地点1 | 事故を目撃したとされる目撃白バイ隊員が一番最初に事故白バイを発見したとされる地点。目撃地点1 その位置から事故にあった白バイを発見した瞬間の距離が178m。 |
178m | 目撃白バイの速度55〜50km/時 |
地点2 | 目撃隊員が事故現場に向かう途中で衝突の瞬間を目撃したとされているその地点。目撃地点2。 事故現場でバスが道路に出だす地点におけるバスの前部左角からその地点までの距離が78.7m。 |
78.7m | |
B地点 | バスが道路に出だす地点 | バスの速度5〜10km/時 | |
衝突地点 | 道路の端から6.5m、目撃隊員によって最初に発見された事故白バイの位置からその位置までの距離が55m。 減速、加速などの情報はなく等速走行60km/時とみなしている。 |
55m | 事故白バイの速度60km/時 |
C地点 | 事故白バイがバスに衝突した時点のバスの位置。衝突したとされる位置は道路の端から6.5m。 | 6.5m |
■ まず地点1と地点2の距離を求める。
178−55−78.7=44.3m
めんどいので道路は直線と仮定している。
■ 目撃者の秒速は55km/時として(法廷で55〜50kmと証言)
55X1000÷60÷60=15.3m/s
その速度で44.3mを駆け抜ける時間は
44.3÷15.3=2.9秒
■ 他方、事故白バイの秒速は60km/時・・・16.7m/s
で、目撃者とおなじ時間でどこまで進むかをみると
16.7x2.9=48.4m
よって事故白バイは、目撃者が地点2に到達したときにはすでに 48.4m 先まで進んでいることになる。
あとの残りは
55−48.4=6.6m
■ この残りを事故白バイは何秒で進むかは
6.6÷16.7≒0.4秒
たった0.4秒、目と鼻の先まで来ている。
道路の端から6.5mの地点だが・・・
■ やっと、このタイミングで初めてバスが道路に侵入することになる。
時速10kmで・・・
それを秒速に直すと
10X1000÷60÷60=2.78m/s
■ すでに白バイは55メートルラインの手前6.6m(時間にして0.4秒)まできていて、
その0.4秒の間でバスが何メートル進めるかを計算すると、バスの最終地点がわかる。
2.78X0.4=1.11m
バスはたった1.11mしか進めない。
ということは白バイとの距離は
6.5−1.11=5.39m
・・・これはバスの前部と白バイとの距離でもあり、衝突から逃れられる余裕度ともいえる。
※※ 注意:(バスの車幅、白バイの大きさを計算式の中で加味されてないのでこの数値が1m以下のように小さいときは衝突する場合もあり、別途再計算しなければならない。
この事故の場合、十分に大きな数字になり、なんら問題ないので考慮はしなかった。)
即ちバスの前方 5.39m を白バイが余裕ですり抜けていくことになる。
白バイは衝突しないという結論になる。
リンク先
↓
著者:山下洋平氏 単行本: 256ページ 出版社: ソフトバンククリエイティブ (2009/11/16) ISBN-10: 4797353899 ISBN-13: 978-4797353891 発売日: 2009/11/16 アマゾン担当者が一足先に読んでくれて、気に入ってくれた。 そして、発売前にもかかわらず「話題の新刊ノンフィクション」としてカテゴリの最上段に据えてくれて、各書籍とリンクして紹介されるように異例の販促体制をとってくれた。--> こちら 話題の新刊ノンフィクション あなたはどう判断する? バスは止まっていたのか、動いていたのか? バスに白バイが追突し白バイ隊員は死亡、そしてバス運転手は逮捕された── しかし、バスの乗客は「バスは止まっていた」と証言、一方警察は「バスは動いていた」と主張。どちらが事実なのか? 運転手は無実ではないのか? 警察は事件を捏造したのか? 謎の多い事件の闇に鋭く迫ったルポルタージュ 『あの時、バスは止まっていた』。 これを読んだあなたの意見が事件の謎を明かす一歩となるかもしれない。 |
内容紹介 ◎ジャーナリスト 大谷昭宏氏推薦 白バイは“黒バイ”か 地方局記者が執念で迫る 「これです」 被告の支援者が数枚の写真を取り出した。 路面には黒々とした二本の筋。 裁判で有罪の決め手となった、スクールバスの「ブレーキ痕」だ。 「このブレーキ痕は、警察が捏造した疑いがあります。これは冤罪ではありません。警察組織の犯罪です」 ――二〇〇六年三月三日午後二時半頃、高知県旧春野町(現高知市)の国道五六号で、高知県警の白バイと遠足中のスクールバスが衝突し、白バイ隊員(二十六)が死亡。 バスの運転手、片岡晴彦さん(五十二)は現行犯逮捕された。 同年十二月には業務上過失致死罪で起訴され、翌二〇〇七年六月には禁固一年四カ月の実刑判決が高知地裁で下された。 その後、高松高裁、最高裁と判決は覆らず、二〇〇八年十月、片岡さんは獄中の人となった。 香川県と岡山県を放送エリアとする地方テレビ局「KSB瀬戸内海放送」。 同局の報道記者である著者のもとに突然、見知らぬ男性から電話が掛かってきた。 男性は、「この裁判は作られたものだ」と訴えた。 事件が発生した高知県のマスコミは、どこも耳を貸してくれない。 藁をもすがる思いで、かすかなつてを頼って県外の地方局の記者に連絡してきたのだ。 この一本の電話をきっかけに片道三時間半、著者の高知通いの日々が始まった。 法廷の場で結審されたとはいえ、不可解な点が多々ある高知「白バイ衝突死」事故。 本事件の闇を徹底的に追った渾身のルポルタージュ! ◎テレビ朝日『報道発 ドキュメンタリ宣言』の放送で大反響! |