++ ネバダレポートの目的はなんだったのか ++

2007.1.21初版

ネバダレポートの目的はなんだったのか

日本では近代になって預金封鎖を二度行っている。 一度目は昭和二年、次は敗戦の翌年昭和二十一年である。
ざくっと収入50兆、支出80兆、借金1,000兆もありいつか財政破綻をきたすのではないかといった見方が出てくるのも自然である。

で、 直近の預金封鎖(昭和21年)のときは、戦後のドサクサということもあり GHQ に好きなようにされたくないという思いがあって強行したようであるが、今の財政状況をみると今度は IMF が入ってくるのではないかとの懸念があり、先回りして預金封鎖を強行するのではないかとの見方がある。新円切替もセットで、宝の山も掘り起こせるし税金だって掛けられる。

ちなみに IMF の話題はネバダレポートなるものが発端になったようである。なぜこのようなある意味インパクトがある文書を配ったのかがひっかかっていた。
下記の国会答弁でも塩川・財務大臣、竹中・経済財政政策担当大臣がゆってるように財政破綻の認識はあるがしかしそれを痛い目をして自分が先頭を切って解決する覚悟もなければそもそもそんな気もないといったところが永田町と霞ヶ関の空気ではないだろうか。この二人が特別な存在ではなく、どの頭をたたいてもみんな同じ音「おら、しらねぇ」が返ってくるということではないだろうか。

となると本音はこのように IMF がズカズカはいってきて役所の従業員とかの給与が直接カットされるようなストーリーは阻止したいはずで、いざとなればその前に預金封鎖をやることにすれば事前の手回しもできるし封鎖の例外対象も自分たちで決められるのでそちらに前もって移せばいいのでそのほうがいいや!という見方ができる


本題にもどると、結局ネバダレポートの目的というのは隠れていて、本命の預金封鎖あたりを隠しておくための目くらましだったのではないかという穿った見方ができる。これはあくまでひとつの仮説である。

   ネバダレポートとは・・・

「ネバダレポートNevada Economic Report」はいまもって出所不明の文書である。 2001年9月に官僚や政治家に広まり自民党部会でも資料として配られたもので IMF(国際通貨基金)の調査官と日本の官僚らが作ったとか、はたまたコレクターズ・ジャパン株式会社 http://www.collectors-japan.com/nevada/ で作られた?とかという話まであり、よくわからない。

しかし、真偽のほどはともかくとしても、その内容は日本の財政が破綻して IMF の管理下におかれた時にどのように財政を管理・再建していくかが書かれていて、これはこれでありうるかも?しれない。この文書は、その翌年2月に下記のように衆議院の第154回国会予算委員会で取り上げら れた。

要約してみると、

1.公務員の人員の総数を30%カット、給料も30%カット ボーナスも全てカット
2.公務員の退職金は100%カット
3.年金は一律30%カット
4.国債の利払いは5〜10年間停止
5.消費税は15%引き上げて20%へ
6.課税最低限の年収100万円までの引き下げ
7.資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の5%を課税 債権・社債については5〜15%の課税 株式は取得金額の1%課税
8.預金は一律ペイオフを実施するとともに、第二段階として預金額を30〜40%カットする

と、仰天なストーリーが展開されている。
これをやられちゃぁ逃げ場がないと話を聞きつけた一部の資産家とか、小金をもっている議員とか、こざとい役所の従業員たちはさっさと資産を海外に移しておいて、昭和21年のときにやったように、株式と不動産を預金封鎖の対象から外しておいて封鎖をやることが想定される。

第154回国会 予算委員会 第10号(平成14年2月14日(木曜日))
五十嵐委員 それは多少の効果があるということは私も認めていますよ。だけれども、これだけの財政状況になってくると非ケインズ効果も生まれるのではないかということも申し上げたわけであります。
 それから、苦言を一つ呈しておきますが、先日の予算委員会で、竹中大臣は、需要と供給の関係で、最終的には需要と供給は一致するんだというようなことを おっしゃったですね。これは、あなたが売った値段と私が買った値段は同じですよと言っているにすぎないのであって、国会をばかにしているような発言だと私 は思いますので、ぜひそういうようなくだらない、くだらないといいますか明々白々の話をここでして何になるんだという話ですから、それは御注意を申し上げ ておきます。
 それから、赤字財政の改善が中長期的な経済成長率の上昇に寄与するという諸先進国の常識を今お認めになったわけですけれども、よその国ではこういうことをやっていないということをはっきり認識しているというお話でいいわけですね。今お認めになったのでいいと思いますが。
 私のところに一つレポートがございます。ネバダ・レポートというものです。これは、アメリカのIMFに近い筋の専門家がまとめているものなんですけれども、この中にどういうことが書いてあるか。
 ネバダ・レポートの中でも、昨年の九月七日に配信されたものなんですけれども、IMF審査の受け入れの前に、小泉総理の、日本の税収は五十兆円ほどしかない、今の八十五兆円を超える予算は異常なんですという発言があります。これを大変重視して、当然だと言っているんです。
 同時に、九月上旬、ワシントンで、私、柳澤大臣と行き会いましたけれども、そのときに、柳澤大臣が記者会見をワシントンでされていまして、IMFプログラムを受け入れるという発言をされていますね。これは御確認をさせていただきたいんですが、そのとおりですか。
柳澤国務大臣  IMFのFSAP、これは受け入れます。これはもともとがG7の国で発案をしたものでして、それをいつやるかということを我々も考えておりましたが、我々の方はペイオフという大事業があるので、生まれたばかりの役所でマンパワーがとかく不足であるというようなこともありまして、少しそのタイミングを見計 らったということが背景で、今回、そういうことを正式に表明したということでございます。
五十嵐委員  極めて狭い意味、いわゆる金融のIMFによる検査という意味で柳澤大臣は使われているんですが、IMFの方では、金融面のプログラム、それは検査だけではないと思いますが、いわゆるIMFのプログラムの中には、金融面とそうでない部分があるんですね。主に我々も金融面をとらえているし、その検査も含めて、 柳澤大臣も金融面のことを頭に置かれているというふうに思うんですが、このネバダ・レポートの中ではこの二つの発言を評価しておりまして、これが当たり前なんだということを言っております。つまり、バランスバジェット、収支均衡というのが極めてIMFでは重視されるんだということを言っておりまして、もし IMF管理下に日本が入ったとすれば、八項目のプログラムが実行されるだろうということを述べているのであります。
 手元にありますが、その八項目というのは大変ショッキングであります。

公務員の総数、給料は三〇%以上カット、及びボーナスは例外なくすべてカット。
二、公務員の退職金は一切認めない、一〇〇%カット。
年金は一律三〇%カット。
国債の利払いは五年から十年間停止。
消費税を二〇%に引き上げる。
課税最低限を引き下げ、年収百万円以上から徴税を行う。
資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の五%を課税。
債券、社債については五から一五%の課税。
それか ら、預金については一律ペイオフを実施し、
第二段階として、預金を三〇%から四〇%カットする。

大変厳しい見方がなされている。
 これはどういうことか。そのぐらい収支均衡というのは大事なんだ、経済を立て直すためには極めて大事なんだということを、世界の常識となっているということを示しているわけであります。
 こういう認識をお持ちになっているかどうか、財務大臣、竹中大臣、伺いたいと思います。
塩川国務大臣 数字の面でいろいろ議論ございますけれども、私は、今おっしゃったような厳しい認識は持っております
竹中国務大臣 短期的に常に均衡させることが重要かどうかということについては、当然のことながら議論が御承知のとおりありますけれども、長期的にやはり持続可能であるためには、それはまさにプライマリーバランスを均衡させなければいけないと強く思っております
五十嵐委員 その厳しさが違うということを私は申し上げたい。ここまでしなきゃいけないんだというほど世界の常識はこの面に厳しいということであります。
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関連する文書
Rudi Dornbusch Essays 1998/2001 Table of Contents(Massachusetts Institute of Technology)
A CENTURY OF UNRIVALLED PROSPERITY, April 1999 
国債と金利のはなし

このページとは関係がなく恐縮ですが・・・
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内容紹介

◎ジャーナリスト 大谷昭宏氏推薦
白バイは“黒バイ”か
地方局記者が執念で迫る

「これです」
被告の支援者が数枚の写真を取り出した。
路面には黒々とした二本の筋。
裁判で有罪の決め手となった、スクールバスの「ブレーキ痕」だ。

「このブレーキ痕は、警察が捏造した疑いがあります。これは冤罪ではありません。警察組織の犯罪です」

――二〇〇六年三月三日午後二時半頃、高知県旧春野町(現高知市)の国道五六号で、高知県警の白バイと遠足中のスクールバスが衝突し、白バイ隊員(二十六)が死亡。
バスの運転手、片岡晴彦さん(五十二)は現行犯逮捕された。
同年十二月には業務上過失致死罪で起訴され、翌二〇〇七年六月には禁固一年四カ月の実刑判決が高知地裁で下された。
その後、高松高裁、最高裁と判決は覆らず、二〇〇八年十月、片岡さんは獄中の人となった。

香川県と岡山県を放送エリアとする地方テレビ局「KSB瀬戸内海放送」。
同局の報道記者である著者のもとに突然、見知らぬ男性から電話が掛かってきた。
男性は、「この裁判は作られたものだ」と訴えた。
事件が発生した高知県のマスコミは、どこも耳を貸してくれない。
藁をもすがる思いで、かすかなつてを頼って県外の地方局の記者に連絡してきたのだ。

この一本の電話をきっかけに片道三時間半、著者の高知通いの日々が始まった。
法廷の場で結審されたとはいえ、不可解な点が多々ある高知「白バイ衝突死」事故。
本事件の闇を徹底的に追った渾身のルポルタージュ!

◎テレビ朝日『報道発 ドキュメンタリ宣言』の放送で大反響!

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