++ 市議会議員共済会破綻寸前 年金いらぬ掛け金拒否 地方議員の乱 ++


2012.2.13 2009.10.11初版

市議会議員共済会破綻寸前 年金いらぬ掛け金拒否 地方議員の乱


中日新聞2009.10.10
中日新聞091010
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年金いらぬ 地方議員の乱
破綻寸前、掛け金拒否
徳島・小松島市議 公費投入に反対
  地方議員の年金制度が危機に陥っている。対策が講じられない場合、積立金が底をつき二〇一一年度にも破綻する見込みだ。破綻は「平成の大合併」で現役議員が減ったのが主な要因。
こうした中、徳島県小松島市の市議七人が、地方議員年金の廃止を求めて掛け金の支払いを拒否した。地方議員だけの問題かと思いきや、実は国民が納めた税金が使われる問題も背景にあるというから大問題だ。(秦淳哉)
 「われわれは掛け金の支払いが嫌だと言っているわけじゃない。地方議員の年金を一日も早く廃止したほうが傷は浅くすむ。そのために実力行使に出た」。小松島市議会の出口憲二郎議長は月々の掛け金(六万二千円)支払いを拒否した理由をこう打ち明けた。
  出口氏ら市議七人は、全国市議の年金事務を取り扱う市議会議員共済会(東京都千代田区)に対し、給与から天引きされる掛け金の支払いを拒否すると通知、八月分を拒んだ。
  地方議員は年金加入を法律で義務付けられている。支払い拒否は明らかに法律違反だ。市議が集団で意図的に法律違反を犯すとはただ事ではない。何があったのか。
  出口氏は「今年二月、共済会が『年金制度維持が将来にわたって安定継続できるよう、国への要望を各市議会が決議してほしい』と言ってきた。
要するに、もっと税金を投入して議員年金を存続させたいということだ。
しかし、地方財政が行き詰まる時、これ以上の公費投入に世間は納得しない。こんな決議はできないと断った」と憤る。
  さらに「制度が今後も確立できるとは思わない。掛け金を支払わない決めたのは、年金制度を早期に廃止すべきだと考えたからだ」と語る。
  この地方議員の「反乱」に対し、市議会議員共済会の担当者は「今回のような支払い拒否は初めてで、法令に想定していない事態。納めてもらえない場合は督促することになる」と話す。
  現在、地方議員の年金制度は危機的状況に陥っている。「平成の大合併」の影響が理由で、急激に合併が進んだ結果、掛け金を払う現役議員が減少。一方で、合併を機に引退を決めた議員が一気に増加して年金受給者となったため財政を圧迫しているからだ。
  共済会の資料によると、一九九八年度に全国に三千二百五十五あった市町村数は、二〇〇七年度には千八百十六まで減少。この結果、市町村議員共済会の議員数も約六万人から約三万五千八百人にまで激減した。
  これに対し、総務省は有識者による「地方議会議員年金制度検討会」を設立。対応策を練っている最中だが、制度を維持するには税金投入が避けられない情勢だ。
  「議員年金を廃止して、公費負担もやめるべきだ」と話す出口憲二郎市議会議長=徳島県小松島市で
赤字年200億円以上
国民年金や厚生年金と重複加入可能に批判
  地方議員年金とはどういうものか。地方議員年金制度は一九六一年、地方議会議員互助年金法により発足。当初は任意加入で、都道府県、市、町村の議員区分ごとに互助会を設けて年金を給付する制度だった。六二年、地方公務員共済組合法の施行に伴い同法に統合され、強制加入となった。
  問題は、制度維持のため、掛け金以外にも、税金がつぎ込まれている点だ。公費投入は七二年から始まり、地方議員は現在、月額報酬の13〜16%を保険料として納めるのに対し、自治体側も10〜16・5%分を負担する。
二〇〇七年度だけでも公費負担は総額約二百六十三億円に上る。
  在職期間十二年で受給資格が発生し、受給額は県議で年間百九十五万円、市議が百三万円、町村議が六十八万円。十二年末満で退職・死亡の場合も一時金が支給される。国民年金や厚生年金の重複加入も可能で、「特権的」との批判は根強い。
 前出の出口氏が廃止にこだわるのも、公的年金と異なる制度に今後も税金をつぎ込むことへの抵抗感からだ。「積立金の取り崩しで赤字を補てんしてきたが、今後も毎年二百億円以上の赤字が出るだろう。国がこれを補てんすれば莫大な費用になる。掛け金をこれ以上増やすのも限界。廃止したほうが地方自治体の負担も軽減する」と主張する。
  実際、共済会の台所事情は火の車だ。町村議会議員共済会は一九九五年度から、市議会議員共済会も九九年度から単年度収支が赤字に。後に収支を統合した両議員共済会の赤字は年々増え、市町村合併が本格化する前の九八年度には十三億円だった赤字が二〇〇七年度に百八十四億円に拡大した。
  掛け金を集めた積立金も取り崩しで徐々に減少。〇七年度に五百十億円あった市町村議員の積立金が、二年度には逆に八十七億円のマイナスとなると共済会は試算する。この時点で受給者に支払う年金がなくなり事実上破綻する。都道府県議会議員の積立金は減少が緩やかだが、二二年度に破綻の見込みだ。
  議員年金を廃止した場合も、掛け金を払った議員への返還や、現在年金を受ける人への支給を考えると、検討会は今後必要な費用を約一兆三千億円と試算する。存続でも廃止でも、公費負担が避けられないことに変わりない。
  「お手盛り」批判から〇六年に廃止された国会議員の年金は、掛け金の八割の一括返還か、給付を15%削減して受けるかの選択となった。
  出口氏は「国会議員だけが廃止で、地方議員は一切触らないのはおかしい。総務省の検討会は合併で減った年間千百十一億円の歳費の一部を、議員年金に回そうという議論までしている。行政経費を減らすのが合併の目的だったはず。あきれてものが言えない」と語る。出口氏らの動きを受け、小松島市議会も九月、「市議会議員年金制度の廃止を求める意見書」を全会一致で可決した。
  検討会は年度内に制度のあり方の結論を出す方針だが、都議選では民主党が制度廃止をマニフェストに盛り込んだ経緯もある。政権交代で「無駄遣い」の見直しが求められる今、原口一博総務相が、この問題をどう決着するかが注目されている。
   ※地方議会年金制度検討会の資料から作成
議員7人が議員年金掛け金の支払いを拒否した小松島市の庁舎。全会一致で廃止の意見書も可決した
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