小沢一郎さん控訴審判決要旨 東京高裁・小川正持裁判長2012年11月12日



2012.11.13初版

小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日

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 ※ この判決、なんとゆっても、一番の見どころは、
   秘書裁判にダイレクトに影響を与える、ココ -->「 いずれも阻却されることになる
   です。

 ※ 小沢一郎代表 無罪が確定 新着
 ※ 小沢氏無罪、上告断念へ…指定弁護士19日にも

             ‐‐‐ もくじ ‐‐‐

【主文】
【理由の要旨】
第1 論旨は要するに次のとおりである(以下、東京都世田谷区深沢8丁目28番5及び
第2 そこで、原審記録を調査して検討する。原判決が本件公訴事実について犯罪の証明
  1 本件公訴事実の概要等
    第2 大久保及び同人の職務を補佐する者であった池田と共謀の上、平成18年3月、
    1 陸山会が、平成17年中に土地取得費等として合計約3億6200万円を支払っていない
    2 陸山会が、平成16年10月5日及び同月29日に土地取得費等として合計約3億5200
    3 陸山会が、平成16年10月29日に本件土地を取得したのにこれを同収支報告書に資産として記載をせず、
  第2 大久保及び同人の職務を補佐する者であった池田と共謀の上、平成18年3月、
    1 陸山会が、平成17年中に土地取得費等として合計約3億6200万円を支払っていない
    2 陸山会が、本件土地を取得したのは平成16年10月29日であるのに同収支報告書の 「資産等の項目別
  2 前提となる事実等
第3 審理不尽がある旨の論旨について
第4 本件土地公表の先送りに係る被告人の故意、共謀についての事実誤認の論旨(控訴趣意書第2) について
  1 所論は、本件土地公表の先送りに関し、原判決は、被告人が、先送りの交渉が
  2 この点に関する原判決の判断の概要は次のとおりである。
   (1) 被告人は、平成16年10月5日頃、本件売買契約が同月5日に締結されたこと、そ
   (2) ところが、石川は、東洋アレックスとの交渉の結果、決済全体を遅らせることはでき
   (3) しかし、被告人は、秘書寮建築の方針が変更されるのでない限り、本件売買契約締結
   (4) したがって、被告人は、本件売買の決済全体の先送りの交渉が不成功に終わり、本件
 3 そこで検討する。
   (1) 被告人に対する本件売買契約締結の報告等
   (2)ア 所有権の移転時期及びその先送りもこついての石川の認識
       (ア) 石川は、「本件合意書の1条において、本件土地の所有権を平成17年1月7日に移
       (イ) そこで、石川の認識についてみると、仮に原判決のいうように石川が所有権の移転と
      イ 本件土地取得費の支出及びそれについての石川の認識
   (3) 本件土地公表の先送現こ関し、石川が改めて被告人に報告しなかった理由
   (4) 本件土地の取得及び取得費の支出もとついての被告人の認識
   (5)ア 所論は、被告人は平成16年10月29日にりそな4億円の融資関係書類に自署し
      イ また、所論は、被告人は、りそな4億円の残額2億円こついて利息負担を軽減する
      ウ さらに、所論は、原判決は、平成16年10月29日の本件売買契約の決済直後
   (6)ア 所論は、原判決は、池田が、捜査段階において、「平成18年3月頃に被告人に対
      イ また、所論は、原判決は、平成19年2月、民主党代表の地位にあった被告人が事
   (7) 本件土地公表の先送りに係る被告人の故意、共謀に関し、その他所論が指摘する点を
第5 本件4億円の簿外処理に係る被告人の故意、共謀についての事実誤認の論旨(控訴趣意書第3)について
  1 所論は、@被告人は平成19年5月2日に本件4億円の返済を受けており本件4億
  2 本件4億円の収入計上の必要性の認識に関する原判決の判断の概要は次のとおりである。
  3 そこで検討すると、この原判決の判断は、おおむね是認することができる。
   (1) すなわち、関係証拠によると、被告人は、陸山会が本件土地を購入する等のための資
   (2) また、原判決は、本件4億円が陸山会の一般財産に混入し、その後、本件売買の決済
  4(1) 所論は、原判決は、池田が平成17年10月に本件定期預金のうちの2億円をりそ
   (2) また、所論は、原判決が、被告人には、本件4億円の簿外処理の方針を了承する動機
  5 本件4億円の収入計上の必要性の認識に関して、その他所論が指摘する点を検討し
第6 なお、所論は、被告人が本件4億円を提供し隆山会が本件土地を購入したことに関
第7 結論
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           判 決 要 旨

被告人 小沢一郎こと小澤一郎 (昭和17年5月〇〇日生)
被告事件 政治資金規正法違反
原審 東京地方裁判所 (平成24年4月26日宣告)
控訴審 東京高等裁判所第4刑事部(平成24年11月12日宣告)
裁判官 小川正持(長)、川口政明、任介辰哉


【主文】
  本件控訴を棄却する。


【理由の要旨】
  本件控訴の趣意は、指定弁護士大室俊三、同村本道夫及び同山本健一連名作成の控訴趣意書記載のとおりであり、これに対する答弁は、弁護人弘中淳一郎 (主任 )同喜田村洋一、同弘中絵里、同河津博史、同秋山亘、同大木勇、同品川潤 、同山縣敦彦及び同植木亮連名作成の答弁書記載のとおりであるから、これらを引用する。


第1 論旨は要するに次のとおりである (以下、東京都世田谷区深沢8丁目28番5及び28番主9の土地を「本件土地」と略称するほか、略称等は原判決のものをそのまま使用する。)。
  原判決は 陸山会の平成 16年分及び平成17年分の収支報告書に本件公訴事実どおりの虚偽記入及び記載すべき事項の不記載があること、平成16年分の収支報告書における本件4億円の収入並びに本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入・不記載について石川知裕に故意が認められること、平成17年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出こ係る虚偽記入について池田光智に故意が認められること、被告人は石川らから本件4億円を簿外処理すること並びに本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に記載せず、平成17年分の収支報告書に記載することについて報告を受けこれを了承したことの各事実を認定したが、被告人は、 「本件4億円の簿外処理や本件土地公表の先送りが違法とされる根拠となる具体的事情については、石川らにおいて、被告人に報告してその了承を受けることをせず、被告人が、これらの事情を認識していなかった可能性があり、したがって、被告人が、本件4億円を借入金として収入計上する必要性や、本件土地の取得等を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、平成17年分の収支報告書に同年中のものとして計上すべきでないことを認識していなかった可能性を否定できない」ので、「被告人の故意及び実行犯との共謀について証明が十分ではなく、本件公訴事実について犯罪の証明がない」として、被告人を無罪とした。
  しかし 被告人は、本件4億円を借入金として収入計上する必要性や、本件土地の取得等を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり平成17年分の収支報告書に計上すべきでないことを認識していたから、原判決は本件4億円の簿外処理及び本件土地公表の先送りに係る被告人の故意及び石川らとの共謀が認められないとする点るにおいて事実誤認をしており、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決は破棄されなければならない。
  また、原判決が被告人の故意及び石川らとの共謀が認められない根拠として認定したことすなわち、被告人が本件売買契約の決済全体が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があること、及び、被告人が、本件定期預金は本件4億円を原資として設定され被告人のために確保されるものなので、本件4億円を借入金として収入計上する必要がないと認識していた可能性があることについては、原審の審理過程において、被告人及び弁護人は一切主張しておらず、争点になっていなかった。原審裁判所がこの点を争点と考えていたのであれば、当事者に確認して争点化を図るか、自ら被告人に質問しその真偽を確認すべきであったが、原審裁判所はそれをしなかった。原判決の事実誤認は、このような審理不尽によって生じたものであり、原判決はこの点からも破棄されなければならない。
 
以上のとおりである。


第2 そこで、原審記録を調査して検討する。原判決が本件公訴事実について犯罪の証明がないものとして被告人に対し無罪を言い渡したのは正当として是認でき、原判決が争点に対する判断の項で説示するところも一部を除きおおむね首肯できる
   本件公訴事実の概要等
本件公訴事実の概要は、原判決の「本件公訴事実の要旨」記載のとおりである。すなわち、「被告人は、
  第1 睦山会の会計責任者であった大久保隆規及び同人の職務を補佐する者であった石川と共謀の上、平成17年3月、
     陸山会が、平成16年10月12日頃に被告人から4億円の借入れをしたにもかかわらずこれを同年の収入として計上しないことにより、同年分の収支報告書の「本年の収入額」欄の金額につき虚偽の記入をし、
     陸山会が、平成16年10月5日及び同月29日に土地取得費等として合計約3億5200万円を支払ったにもかかわらずこれを同年の支出として計上しないことをことにより、同収支報告書の「支出総額」欄の金額につき虚偽の記入をし、
     陸山会が、平成16年10月29日に本件土地を取得したのにこれを同収支報告書に、資産として記載をせず、同収支報告書を提出し、もって同収支報告書に虚偽の記入をし、記載すべき事項を記載しなかった、
 第2 大久保及び同人の職務を補佐する者であった池田と共謀の上、平成18年3月、
     陸山会が、平成17年中に土地取得費等として合計約3億5200万円を支払っていないにもかかわらずこれを同年の支出として計上することにより、同年分の収支報告書の「支出総額」欄の金額につき虚偽の記入をし、
     陸山会が、本件土地を取得したのは平成16年10月29日であるのに同収支報告書の「資産等の項目別内訳」の「年月日』欄に取得年月日が平成17年1月7日である旨の虚偽の記入をし、同収支報告書を提出し、もって同収支報告書に虚偽の記入をした」というものである。
  そして、原判決は、前記のとおり、被告人の故意及び実行犯との共謀について証明が十分ではなく、本件公訴事実について犯罪の証明がないとして、無罪を言い渡した


  前提となる事実等
  関係証拠によれば、客観的な事実関係として、原判決が争点に対する判断第2の1及び2並びに第7の2 (1)等において認定説示するとおりの事実を認定することができる。その概要は次のとおりである。
  陸山会において、秘書寮を建築するため、石川らは、平成16年10月5日、株式会社ミブコーポレーションの仲介により、東洋アレックス株式会社との間で、買主を「陸山会代表小沢一郎」、残代金支払日を同月29日として 、本件土地を総額3億4264万円で購入する旨の本件売買契約書を作成し、東洋アレックスに手付金等合計1008万円を支払い、ミブコーポレーションに仲介手数料500万円を支払った。
  被告人は、同月12日本件土地の購入資金等として、現金4億円(本件4億円)を石川に渡し、陸山会に貸し付けた。石川は、本件4億円を赤坂事務所の金庫に一且保管した後、3億8492万円を陸山会代表小沢一郎名義のりそな銀行衆議院支店の預金口座 (本件ロ座)等の口座に分散して入金した。
  石川は、同月28日、東洋アレックスとの間で、 @原契約の物件の引渡し及び残代金支払は原契約に基づき同月29日に行うが、所有権移転登記について、買主の希望により同日に所有権移転仮登記を行い、本登記を平成17年1月7日に行うこと、A平成17年度分の固定資産税は全額買主の負担とすること、B上記変更以外、原契約の内容に変更はないことなどを内容とする本件合意書を作成した。
  石川は、平成16年10月28日午後遅く、りそな銀行衆議院支店に対し、陸山会名義の定期預金4億円を担保とし、2年程度の返済予定で、被告人名義での4億円の融資を申し込み、その後、同銀行から内諾を得た。
  石川は、同月29日午前10時16分頃から28分頃にかけ、東洋アレックスに対し、本件ロ座から3億1998万4980円を振込送金し、1265万5020円をりそな銀行衆議院支店発行の小切手で支払った。そして、これと引換えに、本件土地の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を受け取った。この際、東洋アレックスと陸山会との間で 、「不動産引渡し完了確認書」が作成された。石川は、同じ頃 陸山会から、ミブコーポレーションに仲介手数料残金399万4300円を支払い 、司法書士に仮登記費用等90万2488円を支払った。同日、本件土地について、被告人を権利者として 、同月5日売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記手続がされた。
石川は、同月29日午後1時5分頃、本件口座から、4億円をりそな銀行衆議院支店の陸山会名義の定期預金口座に振り替えた(本件定期預金)。そして、石川は、被告人を借主として、手形貸付により、同銀行から、本件定期預金を担保とし、弁済期を平成17年10月31日として4億円を借り入れる旨の契約を締結した(本件預金担保貸付)。同銀行から、天引利息等463万7686円を差し引いた3億9536万2314円が被告人名義のロ座に振り込まれた。石川は、平成16年10月29日午後1時33分項、同ロ座から4億円を本件口座に振込送金した(りそな4億円 )。本件預金担保貸付の際、被告人は、石川が持参した融資関係書類に自ら署名した。ただし、同銀行との交渉や融資、関係書類の授受等の手続は、全て石川が行った。
  平成17年1月7日、本件土地について、被告人を所有者として、同日売買を原因とする所有権移転登記手続がされた。同月14日、陸山会から、司法書士に本登記費用等89万4613円が支払われた。
  平成16年分の収支報告書には、「小澤一郎Jを借入先とする4億円の借入金の記載 (なお、備考欄に「平成16年10月29日」と付記されている。)があるが、これはりそな4億円であり、本件4億円の借入金は記載されていない。また、本件土地の取得費等として支出した金額や資産等としての本件土地は、平成16年分の収支報告書には記載されておらず、平成17年分の収支報告書に記載されている (なお、本件土地の取得年月日は平成17年1月7日と記載されている。)。


第3 審理不尽がある旨の論旨について
  所論は、原判決は、被告人及び弁護人が一切主張しておらず、争点になっていなかった事実を認定し、被告人の故意及び石川らとの共謀が認められない根拠としたとして、原審には審理不尽があった旨主張する。しかし 所論指摘の点は、原判決が、指定弁護士が証明責任を負うべき、被告人の本件土地の取得、及び取得費等支出時期の認識、並びに本件4億円の収入計上の必要性の認識につき、これを認めることができないとする理由の中で、そのような可能性があると述べるものにすぎない。そして、公判前整理手続の結果、「被告人の本件に関する認識の有無及び秘書との共謀の有無」が争点の一つとして明確になっていたことをに鑑みると、原審に審理不尽があったとする所論に理由がないことは明らかといえる


第4 本件土地公表の先送りに係る被告人の故意、共謀についての事実誤認の論旨 (控訴趣意書第2)について
  所論は、本件土地公表の先送りに関し、原判決は、被告人が、先送りの交渉が不成功に終わったことを、石川から報告を受けず認識していなかった可能性があり、当初の方針どおりに本件土地の取得や取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があるとするが、被告人は平成16年10月29日にりそな4億円の融資関係書類に自署しており、常識的な経済人として、その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われると認識していたのは明らかである旨主張する。


   この点に関する原判決の判断の概要は次のとおりである。
  (1) 被告人は、平成16年10月5日頃、本件売買契約が同月5日に締結されたこと、その決済日が同月29日であることを、石川から報告を受けて認識していたところ、同月2O日頃、本件土地公表の先送りの方針、すなわち本件土地の取得や取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上せず、平成17年分の収支報告書に計上することとし、そのために本件売買契約の内容を変更する等の方針について、石川らから報告を受け、これを了承しており 平成16年分の収支報告書に本件土地の取得や取得費の支出が計上されないことは、同年10月の時点で、石川から報告を受けて、認識し了承していた。
  (2) ところが、石川は、東洋アレックスとの交渉の結果、決済全体を遅らせることはできず、所有権移転登記手続のみを遅らせるという限度で本件合意書を作成し、所有権の移転時期を遅らせるには至らなかった。石川は、所有権移転の先送りができたと認識していた旨を原審公判で供述したが、石川は所有権の移転と登記名義の移転とが区別されるものであることを理解したものと認められることなどからすると、上記供述は信用できない。したがって、石川について 平成16年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入ないし不記載(本件公訴事実の第1の2及び3)の故意が認められ、本件売買の決済が終了していることを認識するなどしていた池田についても平成17年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入(本件公訴事実の第2の1及び2 )の故意が認められる。
  (3) しかし、被告人は、秘書寮建築の方針が変更されるのでない限り、本件売買契約締結後の契約の履行過程に関心がないことはあり得るし、本件合意については、陸山会の所有権は保全されており、石川において、陸山会にとってリスクがなく 、自らの裁量で処理できると判断し、被告人に報告せずに作成したと考える余地がある。
そして、石川の立場からみると、本件土地公表の先送りは、所有権移転登記手続を遅らせることができたため、それを口実として、当初の予定どおり実行するつもりであったことから、被告人からあらかじめ了解を受けた範囲内の事柄であると考えて、その先送りの交渉が失敗に終わったことを改めて報告しなかったと考える余地がある。また、本件土地公表の先送りの交渉に失敗したことなどが石川にとって失態であり、被告人の不興を恐れて報告しなかったと考える余地もある。もちろん 虚偽記入による摘発の危険があるが、この点については、石川は、この程度で摘発されることはないだろうと甘く考えて、深刻に受け止めなかった可能性がある。
  さらに、本件預金担保貸付が実行される前に本件4億円を原資とする資金を流用するなどして本件売買の決済を終えたことは、りそな4億円を本件土地の購入資金等に充てるという石川の被告人に対する説明とは矛盾する内容であるなど、これを被告人に報告すれば、これから融資を受けて転貸するりそな4億円の使途について疑問を呈される可能性があるから、石川が、融資関係書類に署名を得るために被告人に説明したとは必ずしもいえない。
また、融資関係書類への署名が本件売買の決済に間に合わなかったのも、石川の不手際であり、被告人の不興を恐れて報告しなかったと考える余地がある。
  (4) したがって、被告人は、本件売買の決済全体の先送りの交渉が不成功に終わり、本件合意書の限度でしか交渉が成立しておらず、本件土地の所有権の移転を平成17年に遅らせることができなかったことについて、 石川から報告を受けず、これを認識していなかった可能性がある。また 平成16年10月5日に手付金を支払い、同月29日に残代金を支払うなどして本件売買の決済が終了していることの認識についても被告人は、石川から報告を受けず、これを認識しなかった可能性がある。以上からすると、被告人は、かえって当初の方針どおり、本件土地の所有権の移転及び残代金等支払等の決済全体が平成17年に先送りされたと認識していた可能性がある。したがって 本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上する必要があり、平成17年分の収支報告書に同年中の取得及び支出として計上すべきでないことを認識していなかった可能性がある。以上のとおりである。


  そこで検討する。
  (1) 被告人に対する本件売買契約締結の報告等
  関係証拠によれば、原判決が前記2(1)で認定判示するところは不合理であるとはいえない
  (2)ア 所有権の移転時期及びその先送りについての石川の認識
  原判決は、石川は、東洋アレックスとの交渉の結果、決済全体を遅らせることはできず、所有権移転登記手続のみを遅らせるという限度で本件合意書を作成し、所有権の移転時期を遅らせるには至らなかったとする。そして、原判決は、所有権移転の先送りができたと認識していた旨の石川の原審公判供述は信用できないとする。しかし、関係証拠に照らすと、残代金全額の支払がされ、物件の引渡しがされて、本件土地の所有権移転登記手続に必要な書類の引渡しがされるなどしたことから、平成16年10月29日に本件土地の所有権が移転したとした原判断を不合理とすることはできないが、石川の上記原審公判供述は信用できないとする原判断は、経験則等に照らし、不合理というほかはない
  (ア) 石川は、「本件合意書の1条において、本件土地の所有権を平成17年 1月7日に移転することが取り決められたと考えていた。また 当時、所有権の移転と登記名義の移転との違いをよく理解していなかったことや司法書士からの説明で所有権移転の先送りができたと認識していた。」旨を原審公判で供述した。これに対し、原判決は、本件売買契約書の記載を見れば、所有権の移転と登記名義の移転が異なるものとして扱われていることは専門家でなくても、容易に理解できる、高額の不動産購入に当たり本件売買契約書の内容を慎重に検討したはずであり、所有権の移転と登記名義の移転とが区別されるものであることを理解していたはずであるから、本件合意書により本件土地所有権の移転時期の変更などは合意されていないことも認識していたものと認められる。司法書士は、その立場等に照らせば、陸山会における経理処理や収支報告書の計上方法について、石川に助言をするはずがない、として、石川の前記公判供述は信用できない旨認定判示する。
  関係証拠によると、本件売買契約書には 「第5条 所有権の移転及引渡し」として本件土地の所有権は、買主が売買代金全額を支払い、売主がこれを受領したときに売主から買主に移転する旨、売主は、買主に本物件を所有権移転と同時に引き渡す旨、 「第7条 所有権移転登記等」として、売主は、売買代金全額の受領と同時に、買主と協力して所有権移転登記の申請手続をする旨等の記載があることが認められる。そうすると、原判決のいうように、その内容を慎重に検討すれば 本件売買契約書上、所有権の移転と登記名義の移転とが区別されるものであることを理解することは可能といえる。そして、本件合意書の第1条には「原契約の物件の引渡し及び残代金支払日は、原契約に基づき平成16年10月29日に行うが、原契約第7条による所有権移転登記については、買主の希望により平成16年10月29日に所有権移転仮登記を行い、本登記を平成17年1月7日に行うものとする」とあり、残代金の支払時期、物件の引渡し時期及び所有権移転登記 (仮登記及び本登記)の時期のみが明記されているだけであって、所有権の移転時期についての定めはない。また、本件合意書の第3条には「第1条及び第2条の変更以外、原契約の内容に変更はないものとする」とある。これらからすると、所有権の移転時期については本件合意書によって変更されておらず、本件売買契約書に従って処理されることになると理解することも可能といえる。
しかし、本件合意書作成の経緯等を見ると、関係証拠によると次の事実が認められる。すなわち、石川は、本件売買契約後に先輩秘書からの示唆を受けるなどして本件土地公表の先送りの方針を決め、当初は本件売買契約の決済全体を来年に延ばすようにミブコーボレー・ションに求めた。しかし 売主の意向が残代金は10月29日に支払ってほしいというものであったことからミブコーポレーションの担当者が、司法書士から聞いていた仮登記を利用して、本登記を延ばすことを提案し、陸山会側がこれを了承し、本件合意書の作成に至った。その際、所有権の移転時期についての具体的なやり取りがされた様子はない。そして、前記のとおり、本件合意書の第1条には、残代金の支払時期及び物件の引渡し時期は明記されているが、所有権の移転時期については何ら明記されていない。
(イ) そこで 石川の認識についてみると、仮に原判決のいうように石川が所有権の移転と登記名義の移転とを区別して理解していたとすると、本件合意書の作成に当たり、所有権の移転時期ほどうなるのかと聞いたり、本登記の先送りだけでなく所有権移転時期の先送りも本件合意書に明記してほしいなどという要望をすることになるのではないかと思われる。石川がそのような行為に出ていないということは石川としては、所有権の移転と登記名義の移転とを区別して認識しておらず、これらを一体のものとして認識していたためではないかとみるのがむしろ自然ともいえる。
また、本件売買契約書及び本件合意書の内容について、原判決は、石川が慎重に検討したはずであり、専門家でなくても容易に理解できるとする。しかし、石川は、10月29日の決済直前にいわば駆け込みで先送りを実現しようとするなど、慌ただしい状況にあったといえるのであるから、時間をかけて慎重な検討をするような心理的余裕がなかったのではないかとみる余地がある。しかも、陸山会側からの要望が契機であるとはいえ、本件合意書自体は、司法書士という専門家も関与した形でミブコーポレーションから提案されたものである。法律の専門家でもない石川がそれを十分な検討を経ることなく信頼したということはあり得ることといえる。したがって、判決のいうように石川が慎重に検討して理解したとはいい難いというべきである
  そうすると、石川が、本件合意書により、自らの要望どおりに所有権の取得も先送りできたものと思い込んだということもあり得ることといえる。
  他方、本件合意書作成の経緯等からすると売主である東洋アレックスとしても、陸山会側の初の要望である決済全体の先送りに応じることはできないが、10月29日に残代金の支払が受けられ、物件の引渡しができれば足りると考えていたものとみられ、登記と所有権取得とを一体のものとして先送りするという陸山会側の明示的な要望があれば、これに反対するような状況は何らうかがえない。これは、前記のような石川の認識に矛盾しない。
 


以上からすると、石川としては、原判決がいうような所有権移転登記手続のみを遅らせるという限度で本件合意書を作成したとの認識であったとは認め難く、登記と一緒に本件土地取得も先送りされたと理解したとみる余地があるといえる。したがって、これまで検討したような考察を欠いたまま石川の前記公判供述は信用できないとした原判決の判断は、経験則等に照らし、不合理というほかはない
  以上のとおり、石川は、本件土地の取得を平成17年に先送りできたと思い込んでいた可能性があり、石川から本件土地購入等に関する引継ぎを受けた池田についても、石川と同様の認識であった可能性を否定できない。そうすると、本件土地の取得について、石川の平成16年分の収支報告書不記載(本件公訴事実の第1の3)の故意、池田の平成17年分の収支報告書虚偽記入(本件公訴事実の第2の2)の故意はいずれも阻却されることになるので、これらの故意を認めた原判決の判断は、論理則、経験則等に照らし不合理でもあって、是認することができない。もっとも、被告人に対する本件土地取得についての平成16年分の収支報告書不記載及び平成17年分の収支報告書の虚偽記入の各犯罪の成否を検討するに当たっては、なお被告人の故意の有無を問題にする余地があると考えられるので 本件土地の取得につき、被告人が石川から報告を受けたのかどうかについても検討を加えておくこととする (後記、(3))。
     本件土地取得費の支出及びそれについての石川の認識
  前記のとおり、陸山会は、平成16年10月5日、東洋アレックス及びミブコーポレーションに対し、本件売買契約に関し 手付金、仲介手数料等として合計1508万円を支払い、同月29日、東洋アレックス、ミブコーボレーション及び司法書士に対し、残代金、仲介手数料残金、仮登記費用等として合計3億3753万6788円を支払っている。これら合計3億5261万6788円の支出については、本件土地の取得費等として、平成16年分の収支報告書において計上すべきであることは、原判決が説示するとおりである
  そして、石川及び池田が、本件土地取得費等の現実の支出が平成16年であったと認識していたことからすると、収支報告書における本件土地取得費等支出の虚偽記入について石川及び池田に故意を認めた原判決の判断を不合理とすることはできない。もっとも石川は、本件土地の取得費等の支出の計上について、「本登記の日が正式の日だという認識を持っていたので、本登記が翌年に回るから、残代金の支払についても翌年に回せばいいという理解であった。」旨原審公判で供述している。前記のとおり、石川としては、本件土地の登記の先送りとともに本件土地の取得の先送りもできたと思い込んでいた可能性がある。そのような認識を持った石川が、収支報告書こおける本件土地取得費等の計上について、本登記と同時期に計上することで少なくとも一応の説明がつかなくはないと思っていた可能性は否定できない。その限度で石川の前記公判供述の信用性を否定することはできないといえる。
  そうすると、本件土地取得費等支出の虚偽記入についての故意を阻却するとはいえないとしても、石川は、本件土地取得費等支出の計上について、本登記と同時期に計上することで一応の説明がつかなくはないと考えていた可能性が否定できず、石川から引継ぎを受けた池田も同様の認識であった可能性を否定することはできない
  (3) 本件土地公表の先送りに関し、石川が改めて被告人に報告しなかった理由
  原判決は、前記のとおり、石川が、所有権移転登記手続のみを遅らせることができたにとどまり、本件土地公表の先送りは実現できなかったと認識していたことを前提に、本件土地公表の先送りに関し被告人に改めて報告しなかったと考える余地もあるとする。
  しかし、本件土地の取得の先送り及び本件土地取得費支出の計上についての石川の前記のような認識からすると、石川としては、事前に被告人から了解を得ていた本件土地公表の先送りの方針につきそれなりの形をつけられたと思い込んでいた可能性があるといえる。
そして、石川がそのように思い込んでいたため、改めて被告人に報告しなかったと考える余地があるといえる。したがって、原判決がいうよう、石川が、交渉に失敗したとか、石川にとって失態であるとか、被告人の不興を恐れたというまでの状況にあったとは認め難い原判決が被告人に本件土地公表の先送りに関し改めて報告しなかったとする点は是認できるが、その理由とする部分については、不合理であって是認することまできない
  また、原判決は、前記のとおり、石川が、本件預金担保貸付の実行前に本件売買の決済を終えたことがりそな4億円を本件土地の購入資金等に充てるという被告人に対する説明と矛盾する内容であるとか、融資関係書類への署名が本件売買の決済に間に合わなかったのが石川の不手際であると認識していたことを前提に被告人に報告しなかったともするが、後述するとおり、石川としては、実質的には本件土地の取得費にりそな4億円を充てたことになると思っていたため、細かな経緯について被告人に報告しなかった可能性があるから、原判決が被告人に報告しなかったとする点は是認できるが、その理由とする部分については、不合理であって是認できない
 (4) 本件土地の取得及び取得費の支出についての被告人の認識
  以上のとおりであり、石川は、事前に被告人から了解を得ていた本件土地公表の先送りの方針につきそれなりの形をつけられたと思い込んでいた可能性があり、改めて被告人に報告しなかったと考える余地があるといえる。そうすると、被告人において、当初の方針どおり、本件土地の所有権の移転及び残代金等支払等の決済全体が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があり、したがって、本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上せず、平成17年分の収支報告書に計上することが適法であると考えていた可能性があるとした原判断は是認できる
 (5)ア 所論は、被告人は平成16年10月29日にりそな4億円の融資関係書類に自署しており、常識的な経済人として、その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われると認識していたのは明らかである旨主張する。しかし、前記のとおり、被告人は、本件土地の取得及び残代金等支払等の決済全体が平成17年に先送りされたものと思い込んでいた可能性がある上、りそな4億円については、本件土地の取得費用よりも多額であって、秘書寮の建築費用等も含まれると考える余地もあることからすると、被告人としては、そうした将来的な支出の準備のために融資を受けるものと認識した可能性がある。しかも、被告人としては 本件売買契約締結後の契約の履行過程には関心がなく、事務的なこととして秘書こ任せていた可能性もあることなどからすると、被告人が、融資関係書類に自署したからといって、その当日ないし近接した日に必ず本件土地の売買代金の支払が行われると認識していたとまで断定することはできない
   また、所論は、被告人は、りそな4億円の残額2億円について利息負担を軽減するために期日前返済をすることに積極的に賛成したように、常日頃から細かな点に至るまで無駄な出費を排除することもむ心掛けており、そのような被告人が本件売買代金の決済が平成17年に先送りになったと思っていたのであれば、なぜ年内に2か月を残すこの日に借入手続をするのか石川に説明を求めるのが当然であるなどと主張する。しかし、関係証拠によると、被告人は、陸山会や関係団体における経常的な資金繰りやその経理処理については、石川や池田に一般的に任せていたと認められるのであって、上記期日前返済を了承した点についても、そのように経理処理等をf壬せていた池田の発案を受け、被告人が余り深く考えずに了承したと考える余地もあるといえる。そして、被告人としては、りそな4億円について、前記のとおり、秘書寮の建築費用等を含む将来的な支出の準備のための融資と認識した可能性がある。そうすると、所論のように石川に説明を求めるのが当然であるとまで断定することはできない
   さらに、所論は、原判決は、平成16年10月29日の本件売買契約の決済直後、被告人は石川が用意した融資関係書類に自署したが、その際、石川が、本件土地の取得費にはりそな4億円を充てる、本件4億円は担保となる本件定期預金にする旨の説明をしたと認定し、石川から本件売買代金の決済が終了したとの報告を受けていなかった可能性があるとするが、石川が上記のような虚偽の説明をすることはあり得ないし、被告人がこれを受け入れることもあり得ない旨主張する。 たしかに、前記認定のとおり、本件土地の残代金等が支払われたのは平成16年 10月29日午前10時過ぎであるのに対し、りそな4億円が本件ロ座に振り込まれたのは同日午後1時33分頃であったことからすると、形式的には、石川の「本件土地の取得費にりそな4億円を充てる」という説明は必ずしも正確なものともいえない。しかし、関係証拠によると、石川は、決済の前日である10月28日午前中にアポイントを取った上で、同日夕方、りそな銀行衆議院支店において、支店長に対し、本件土地の購入資金として預金担保貸付を申し込んでおり、その際、石川は同支店長に対し、融資関係書類が土地代金決済に間に合わない可能性があるかもしれないとして、土地代金決済後に融資を受けることが可能かどうかを確認したことが認められる。このように、石川としては、当初はりそな4億円で現実に代金を支払おうと考え、その趣旨で融資の申込みをしたところ、結果的に融資関係書類に被告人の署名をもらうのが遅れたため、本件売買契約の残代金等の決済と本件預金担保貸付との間に数時間のずれが生じて、これらが前後したにすぎないともいえる。そうすると、石川としては、実質的には本件土地の取得費にりそな4億円を充てたこともこなると思っていた可能性があり、所論がいうような虚偽の説明をしているという認識がないということもあり得ることといえる。したがって、石川は、前述した本件土地公表の先送りの方針と同様、本件土地の取得費にりそな4億円を充てるとのスキームについてもそれなりの形がつけられたなどと認識していた可能性があり、そのような認識の石川が、秘書の裁量の範囲内であるとして、細かな経緯を被告人に説明することなく、上記の程度の説明にとどめ、他方、具体的な履行過程に関心がなく、石川に任せていた被告人が、上記の程度の説明でその内容を認識し、了承することもあり得ることである。所論は採用できない

  (6)ア 所論は、原判決は、池田が、捜査段階において、「平成18年3月頃、被告人に対し、『石川からき継いだとおり、平成17年分の支出に、平成16年に支払った深沢8丁目の約3億5000万円の土地代金を計上しております。』などと念のため説明したところ、「当然のことながら被告人も事情は分かっていたので、『ああ、そうか。』と言って、スムーズもこ了承を得ることができた。」旨供述し、これについて被告人は聞き流しあるいは問題点を認識しなかった余地があるとするが、報告した事項は単純明快であって、聞き流すとか、問題を意識しないなどということはあり得ない旨主張する。しかし、上記会話は簡単かつ事務的なやり取りであり、被告人に対し平成17年分の収支報告書に土地代金を計上することの問題点を注意喚起するような趣旨はうかがわれないのであって、上記のような原判決の判断が経験則等に照らし不合理であるとまではいえない
   また、所論は、原判決は、平成19年2月、民主党代表の地位にあった被告人が事務所費をマスメディア等対外的に公表した際に本件土地の取得費等も平成17年の支出として公表したが、これは「被告人において、本件土地の取得費は、実際にも平成 17年に支出されたと認識していたことをうかがわせる。」とするが、上記公表は、前記のとおり、池田が被告人に平成17年分の支出に平成16年に支払った土地代金を計上している旨報告し、土地取得費が平成16年に支出されたことの詳細を知っている池田と協議した上でのもので、原判決の判示は全く根拠も理由もない旨主張する。しかし、所論のいう池田の被告人に対する報告については、前記のとおり、被告人は聞き流すなどしたと考える余地があるから、所論のその指摘は当たらない。もっとも、被告人が、上記公表に際しては池田と協議していることからすると、少なくともその時点では土地取得費が平成16年に支出されたことを認識する可能性もある。そうすると、原判決のように上記公表があるからといって、被告人が土地取得費等が平成17年に支出されたと認識してことをうかがわせるとまではいえない。その限度で所論は理由があるといえるが、結論に影響するものではない
  (7) 本件土地公表の先送りに係る被告人の故意、共謀に関し、その他所論が指摘する点を検討しても、被告人は、本件土地の所有権の移転及び残代金等支払等の決済全体が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があり、したがって、本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上する必要があり、平成17年分の収支報告書に同年中の取得及び支出として計上すべきでないことを、認識していなかった可能性があるとした原判断を不合理とすることはできない


第5 本件4億円の簿外処理に係る被告人の故意、共謀についての事実誤認の論旨(控訴趣意書第3)について
   所論は、
   @被告人は平成19年5月2日に本件4億円の返済を受けており本件4億円を借入金として収入計上する必要性を認識しなかった可能性はない。また、
   Aその前提として本件4億円が被告人に帰属する本件定期預金になった(確保された)と認識する可能性もないので、これと異なる原判決の認定は誤りである旨主張する。


   本件4億円の収入計上の必要性の認識に関する原判決の判断の概要は次のとおりである。
  本件4億円を収支報告書に計上すべき借入金として認定すべき根拠として、本件4億円が陸山会の一般財産に混入し、その後、本件売買の決済に充てられたといった資金の流れ等の経緯があるところ、このような経緯について、被告人は、石川から報告を受けず、これを認識しなかった可能性がある。そして、被告人は、本件4億円を石川に手渡した時点では陸山会の借入金収入として認識していたが、その後、石川から、本件土地の取得費にはりそな4億円を充てる。本件4億円は担保となる本件定期預金にする旨の説明を受け、被告人において、漠然とであれ、りそな4億円が借入金になる代わりに、本件4億円は本件定期預金の原資となり本件土地購入資金等に充てられるのではないと認識した可能性がある。また、被告人は、実際には本件定期預金が、本件4億円を原資とするのではなく、関係団体の一般財産を原資とするものであり、いずれ解約されて陸山会の資金繰り等に流用される可能性があることについて、石川から説明を受けず、これを認識しなかった可能性がある。かえって、被告人は、本件定期預金は、本件4億円の返済原資として、被告人のために確保されるものと認識していた可能性がある。さらに、被告人は、本件4億円の公表を望まないにせよ、政治資金規正法に抵触する収支報告書の虚偽記入ないしは記載すべき事項の不記載をすることまでは想定しておらず、本件4億円の簿外処理を適法に実現することを前提として了承していたという可能性もある。そうすると、被告人は、本件4億円を借入金として収入計上する必要性を認識するために重要な契機となるはずの事情の認識を欠いた結果、平成16年分の収支報告書において、借入金収入として、りそな4億円が計上される代わりに、本件4億円は計上される必要がないと認識した可能性がある。
以上のとおりである。


   そこで検討すると、この原判決の判断は、おおむね是認することができる
   (1) すなわち、関係証拠によると、被告人は、陸山会が本件土地を購入する等のための資金として、本件4億円を石川に交付した。そして、本件土地の取得費にりそな4億円を充てることにして、本件4億円は簿外とするという処理は、石川が、先輩秘書からの示唆を受けるなどしたことを契機に、マスメディア等からの追及的な取材や批判的な報道を避けるため、本件土地の取得費の出所を説明しやすくするという目的で考え出したスキームである。そうすると被告人が、自らが考え出したわけではないスキームの具体的な内容について関心が薄いことは十分考えられるところである。被告人が、これまで陸山会では不動産の取得費に銀行からの預金担保貸付金を充てたことがあったとの慣行や経験から、その内容を漠然と認識するにとどまるというのはあり得ることといえる。原判決の前記判断は、このような状況に符合するものといえる
   (2) また、原判決は、本件4億円が陸山会の一般財産に混入し、その後、本件売買の決済に充てられたといった資金の流れ等の経緯について、
   @秘書の裁量の範囲内であるとして、被告人への報告を要しないと考える事柄とみる余地があること、
   A本件預金担保貸付によるりそな4億円を本件売買の決済資金に充てるという方針と反する内容であって、報告すれば被告人の不興を買うおそれがあること、
   B本件土地公表の先送りを実行するつもりであり、摘発の危険は高くないと甘く考えていたことから、石川があえて被告人に報告しなかったと考える余地もあるとする。
  そこで、検討すると、@及びAについては、前記のとおり、石川は、実質的には本件土地の取得費にりそな4億円を充てたことになると思い込んでいた可能性があり、被告人に対して虚偽の説明をしているという認識がないということもあり得ることといえるから、資金の流れ等の経緯は、既に了承済みの本件売買契約の履行過程等として秘書の裁量の範囲内であるとして被告人にあえて報告しなかったとみる余地がある。したがって、@の原判断は是認できるが、Aの原判断は是認できない。そして、Bについては、前記のとおり、石川は、平成16年10月28日から29日にかけて、預金担保貸付の手続や送金手続を短期間で実行するという慌ただしい状況にあったこと、返済計画等の事後処理は池田に任せていることなどに鑑みると、本件預金担保貸付を利用した本件4億円の簿外処理は、ある意味で、その場しのぎの処理として慎重に検討することなく実行されたとみられるのであり、石川としては、前記のような本件4億円の簿外処理のスキームについてそれなりの形がつけられたなどと安易に認識していた可能性がある。
  また、前記のとおり、石川としては、 本登記と共に本件土地の取得の先送りが実現できたと思い込んだ可能性があり、本件土地取得費等支出の計上についても、本登記と合わせて計上することで一応の説明がつかなくはないと考えていた可能性があることは否定できない。そうすると、石川は、摘発の危険は高くないと甘く考え、あえて被告人に報告しなかうたと考える余地もあるとする原判決の判断は、不合理とまではいえない
 そして、被告人が本件定期預金の名義について説明を受けたとは認められず、被告人が本件定期預金の名義を認識、把握できたかは疑わしいことなどは原判決が認定説示するとおりである。その上で、被告人が、石川の説明によって、本件 4億円の代わりに、りそな4億円が本件土地の購入資金等として借入金となり、本件4億円を原資として設定された本件定期預金は、被告人に帰属する資産であるか、あるいは、本件4億円の返済原資として被告人のために確保されるものと認識した可能性があるとした原判決の判断についても不合理であるとまではいえない。 したがって、被告人は本件4億円が被告人に帰属する本件定期預金になった (確保された)と認識する可能性もないとの所論は採用できない。また、被告人は平成19年5月2日に本件4億円の返済を受けているとの所論の指摘は、少なくとも平成16年分の収支報告書の提出後のことであって、それまでの被告人の認識についての上記判断を左右するものとまではいえない


  4(1) 所論は、原判決は、池田が平成17年10月に本件定期預金のうちの2億円をりそな4億円の半額の返済に充てた際、被告人が異論なくこれに応じ、さらに、平成18年3月に池田がりそな4億円の残額2億円を本件定期預金の残額2億円で返済するに当たって被告人に相談した際、被告人が積極的に賛成しているのは、本件定期預金が被告人のために確保されるものとの認識を被告人が有していなかったことの表れである旨主張する。しかし、前記のとおり、被告人は、陸山会や関係団体における経常的な資金繰りや経理処理については池田に任せており、そのような処理の一環として余り深く考えずに池田の申出を了承したと考える余地もある。しかも、そもそも被告人は無担保で返済期限も定めずに石川に本件4億円を渡しているのであって、被告人のために確保されるとの認識を持った本件定期預金がりそな4億円の返済に使われたとしても、必ずしも被告人の当初の意図に反するとはいえない。したがって、所論指摘のような被告人の対応があるからといって、本件定期預金が被告人のために確保されるとの認識を被告人が有していなかったことの表れとまではいえない。所論は採用できない
  (2) また、所論は、原判決が、被告人には、本件4億円の簿外処理の方針を了承する動機があるが、他方で、本件4億円の簿外処理を適法に実現することを前提として了承していたという可能性があるとするが、被告人が、収支報告書は実質犯でなければ刑事訴追を受けることはないと考え、その旨法廷でも陳述していること、実際に平成17年3月から5月の被告人が指示して行われた改革国民会議との間の4億円の現金の入金、出勤について一切関係5団体の収支報告書に記載がないこと、平成19年5月に自ら指示して行わせた本件4億円の返済について陸山会の収支報告書に記載がないこと、平成21年の参議院選挙の際の、改革フォーラム21からの寄附金の受入れについて、事後的に全く事実と違う記載をすることを容認していることなどから、被告人が、本件4億円の簿外処理を適法に実現することを前提として了承していたという可能性があるとは到底認められない旨主張する。しかし、前記のとおり、被告人は、石川から、本件土地の取得費にはりそな4億円.を充てる、本件4億円は担保となる本件定期預金にする旨の説明を受け、りそな4億円が借入金になる代わりに、本件4億円は本件定期預金の原資となり本件土地購入資金等に充てられるのではないと認識した可能性があり、借入金収入としてりそな4億円が計上される代わりに、本件4億円は計上される必要がないと認識した可能性があることなどからすると、被告人があえて違法な処理を指示するとか、石川らから違法な処理を提案され了承するというのはいささか考えにくい。そして、所論が指摘する各入出金の収支報告書の不記載等は、これらに被告人が関与していたものと認定できるかどうかは別論として、被告人が本件4億円を違法に簿外処理することを了承していたことを裏付けるに足る事情とまではいえない。しかも、前記のとおり、本件4億円を簿外処理とするスキームを考え出したのは被告人ではなく、スキームの具体的な内容について関心が薄く、これまでの陸山会での慣行や経験から、被告人はその内容を漠然と認識していたにとどまる可能性がある。したがって、被告人が本件4億円の簿外処理を適法に実現することを前提として了承していた可能性もあるとした原判決の判断が不合理であるとはいえない。所論は採用できない


  本件4億円の収入計上の必要性の認識に関して、その他所論が指摘する点を検討しても、被告人は、本件4億円を借入金として収入計上する必要性を認識するために、重要な契機となるはずの事情の認識を欠いた結果、平成16年分の収支報告書において、借入金収入として、りそな4億円が計上される代わりに、本件4億円は計上される必要がないと認識した可能性があるとした原判断を不合理とすることはできない


第6 なお、所論は、被告人が本件4億円を提供し隆山会が本件土地を購入したことに関し、石川らが本件4億円の簿外処理(りそな4億円の借入れ)を実行したのは、被告人が、4億円もの巨額の個人資産を陸山会に提供し陸山会が本件土地を購入したことについて想定される追及的な取材と批判的な報道を避けるためであり、本件土地の公表を平成17年に先送りすることを確定した上で平成16年の本件4億円の簿外処理を実行したのは、本件土地公表の先送りが実現できなければ、本件4億円を構外処理すると平成16年分の収支報告書の数字のつじつまが合わなくなり、また「小澤一郎借入金4億円」と本件土地の購入が両者とも同一年度の収支報告書に計上されることになって上記批判を招くことが想定され、本件4億円を薄外処理する意味がなくなるからであるところ、原判決は、その目的の一部を認定したが、その他についてはこれを考慮せず、本件4億円の簿外処理と本件土地公表の先送りの関係を「また」と並列的にとらえ、本件土地公表の先送りを本件4億円の簿外処理と切り離して理解したことが問題であるなどと主張する。しかし、前記のとおり、石川は、本件土地公表の先送りの方針について、短期間で慌ただしく実現しようとしており、ある意味で場当たり的な計画であったといえ、所論がいうようなところまで石川が考えていたとは疑わしいといえる。本件土地公表の先送りと本件4億円の簿外処理を行っただけでは、つじつまの合わない状況は平成17年分に先送りされるだけで根本的には解消されないし、そうした状況が生ずるのを避けるより有効な別の方法が考え得るところである (例えば、本件4億円を原資とする定期預金の名義を陸山会ではなく被告人とし、これを担保に陸山会がりそな銀行衆議院支店から必要な金額を借りたり、本件売買代金全額を陸山会等が保有する現金で支払い、それによる陸山会等の日常的な資金繰りの不足分をその都度必要な限度で被告人が負担したり、端的に本件売買代金のうち必要な限度でその一部を被告人の個人口座からの借入金で賄うなどの方法 )。これらからすると、本件土地公表の先送りと本件4億円の簿外処理とが専ら連動しているとはいえない。そうすると、原判決の判断を不合理とすることはできない。
 また、所論は被告人の秘書として被告人のためるに本件土地公表の先送りと本件4億円の簿外処理という違法行為を実行してきた石川が、被告人に内容虚偽の説明をしたり、事実を隠ぺいしたりしたなどということは認めることができない旨主張する。しかし、これまで検討してきたとおり、石川としては、本件土地の取得の先送りが実現できたものと思い込み、その取得費等の支出の先送りも一応の説明がつかなくもないと考えていた可能性がある。しかも、先輩秘書からの示唆を契機に考えたその場しのぎの処理にすぎないのであって、石川が、自らが行っているスキームについて深く考えることなく、発覚することもないと、甘く考えていたと解する余地もあるといえる。そうすると、所論のように断定的に考えることまではできず、所論は採用できない。


第7 結論
  以上のとおりであって、被告人の故意及び共謀についての証明が十分ではなく、本件公訴事実について、犯罪の証明がないことに帰着するとして被告人を無罪とした原判決の判断は是認することができる (なお、石川及び池田につき、本件土地取得に関する不記載ないし虚偽記入の故意を認めた点において原判決には事実の誤認があるが、これが判決に影響しないことは明らかである。)。
  したがって、原判決には、所論のような判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認ないしは審理不尽の違法はない
  論旨は理由がない


上の判決要旨をざっと読まれてからこのインタビューをご覧になるのが効果的だと思います。(お早めにどうぞ)
・・・ 121112 郷原信郎弁護士インタビュー ・・・


TBS2012年11月14日16:16

TBS121114_s.jpgTBS121114.jpg

小沢氏元秘書ら控訴審、改めて無罪主張

 小沢一郎氏の資金管理団体をめぐる収支報告書の虚偽記載事件で、1審で有罪判決をうけた元秘書3人の控訴審の初公判が開かれました。

  3人は、1審判決が「ゼネコン側から受け取った1億円の裏金を隠すために虚偽記載を行った」と認定したことについて、「事実誤認だ」などとして、改めて無罪を主張しました。

東京高裁は新しい証拠のほとんどを却下しています。(14日16:16)


読売新聞2012年11月16日14時32分

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小沢氏無罪、上告断念へ…指定弁護士19日にも
 資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われ、1、2審とも無罪となった小沢一郎・「国民の生活が第一」代表(70)について、検察官役の指定弁護士は上告を断念する方針を固めた。
 19日の協議で最終決定する。
 上告期限は26日だが、上告を断念した場合、指定弁護士は直ちに上訴権放棄を東京高裁に申し立てる方針で、代表の無罪が確定する。
 高裁判決は「代表には虚偽記入の認識がなかった可能性がある」として、石川知裕衆院議員(39)(1審有罪、控訴)ら元秘書との共謀を否定。東京地裁の無罪判決を支持し、指定弁護士の控訴を棄却した。
 指定弁護士3人は14日、上告するかどうかを協議。主任格の大室俊三弁護士によると、高裁判決に憲法違反や判例違反がなければ、上告を断念することを決めた。大室弁護士は16日午前、取材に対し、「明確な判例違反などを見いだすのは難しいだろう。高裁の認定には不服だが、事実誤認を上告理由とするのも適切ではない」と話した。
(2012年11月16日14時32分 読売新聞)


NHKニュース2012年(平成24年)11月19日[月曜日] 12時11分

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NHK121119小沢一郎代表 無罪が確定.flv
小沢一郎代表 無罪が確定

国民の生活が第一の小沢一郎代表が強制的に起訴され、1審と2審で無罪が言い渡された裁判で、検察官役の指定弁護士は、「上告の理由を見いだすことは難しい」として上告しない手続きを取り、小沢代表の無罪が確定しました。
国民の生活が第一の小沢一郎代表(70)は、平成16年と17年分の資金管理団体の収支報告書にうその記載をしたとして強制的に起訴されましたが、1審の東京地方裁判所はことし4月に無罪を言い渡し、検察官役の指定弁護士が控訴しました。
今月12日の2審の判決で、東京高等裁判所の小川正持裁判長は、「小沢代表は秘書から細かな説明を受けず、収支報告書の記載が正しいと考えていた可能性がある」と指摘し、1審に続いて無罪を言い渡していました。
判決を受けて、指定弁護士は最高裁判所に上告するかどうかを検討していましたが、19日昼前、上告しない手続きを取りました。
この結果、小沢代表の無罪が確定しました。
会見で指定弁護士は、「可能なかぎり慎重に検討したが、上告の理由を見いだすことは難しいと判断した。『被告』という立場を長引かせないため、上告しない手続きを直ちにとった。強制起訴の裁判で判決が確定するのは初めてだが、自分たちの裁判での活動が十分だったのかなどは今後、検証が必要だと思う」と述べました。

“手続きは妥当”

無罪が確定したことについて、小沢代表の弁護団は、「上告しない手続きを取ったことは妥当で、早期に行われたことは評価するが、1審の段階で無罪を確定させてもよかったのではないか」というコメントを出しました。

カネの切れ目が縁の切れ目か・・・こんな機密費の話がでるのも、当たり前の状況だった
日刊ゲンダイ2012年11月19日 掲載
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3人の指定弁護士:大室俊三、村本道夫、山本健一
期限前に上告断念 小沢裁判無罪確定
 2012年11月19日 掲載 上訴権放棄のウラに「カネ」が切れた!?  やっと"座敷牢"から解放だ。  資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で強制起訴された「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)の裁判。東京高裁の控訴棄却を受け、対応を検討してきた検察官役の指定弁護士は、19日午前の最終協議で、最高裁への上告を断念、上訴権を放棄し、無罪が確定した。
 もともと最高裁への上告は、憲法違反や判例違反などに限られるためハードルが高いが、上告期限(今月26日)まで1週間も残す中での上訴権放棄は異例といっていい。
 高裁判決後の記者会見で、指定弁護士は「関係書類が出てくるのが遅かった」「証拠収集できなかった」と未練タラタラで、リベンジの可能性もにおわせていた。それがなぜアッサリと上告断念を決めたのか。背景には、3人の指定弁護士の足並みに"乱れが生じた"ことがあるという。
  「3人の中で最も強硬派とみられていたのは、村本道夫弁護士。取材記者に対して小沢=クロのイメージを口にしていたし、控訴審判決後にも『承服しがたい』『不可思議な処理に控訴審は向き合っていない』と顔を真っ赤にして怒っていました。逆に消極姿勢だったのは山本健一弁護士です。1審、控訴審の判決後も冷静で、ほとんど突っ込んだ発言をしていません。指定弁護士の仕事を重荷に感じていたフシもあり、とても最高裁までは付き合えない――というのが本音でしょう。指定弁護士がまとまらなければ、さすがに上告はムリです」(司法ジャーナリスト)
 永田町では、衆院解散で、「民主党からの官房機密費が途絶えて裁判を続けられなくなった」とのウワサも飛んでいる。カネの切れ目が「上告断念」の決め手――なんてトンでもない話だが、こんな噂話が出るところに、この裁判が"小沢潰し"目的だったことが、浮き彫りになるのである。あらためて、この3年8カ月のゴタゴタは何だったのか。検察も大マスコミもきっちり落とし前をつけてもらいたい。

<-- 小沢一郎さん無罪判決 社説 2012.4.27

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