++ 『あの時、バスは止まっていた』目撃した白バイが60km/時で走っていたら衝突しない 珍現象になる シミュレーションプログラムを作るきっかけになった++


2013.2.13 2009.11.3 2009.1.15 2007.12.3初版

あの時、バスは止まっていた 目撃白バイが60km/時で走っていたら、衝突しない 珍現象になる

あり得ない事故状況が、見分調書と目撃証言から生み出されている。
 その状況をなんとか再現できないものかと考え、シミュレーションプログラムを作るきっかけとなった。

そんなあり得ないことを証明することは「悪魔の証明」でもあり、邪道も甚だしい。
が、そうかとゆってなにもしないでいては、この異常性を世間様が理解することは難しいと考え、あえてトライした苦肉のアプローチである。
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はじめにお断り:
まず、最初に、
  ■弁護側が主張する事故状況と、
  ■警察・検察が主張する事故状況が、
真っ向から食い違っている現実がある。
悲惨なことに、裁判では後者の衝突ストーリーが100%採用され、前者の主張は完全に否定された。

このページでは、その後者のストーリーを検証して「本当に事故状況が再現できるのか?」を判断する。
その結果、現場に残された状況と食い違いが出てくれば「作り話である」といえる、というスタンスで進めている。

その前に、整理しておかなければならないことがある。
あってはならないことであるが、警察・検察が主張している状況のなかでも2通りの事故状況が生じていることである。
1.現場見取り図からみえる事故状況と、
2.目撃白バイ隊員による目撃証言から生み出される事故状況、
の2つがある。
しかし、そのようなひとつの事故状況にならない自己矛盾があるのにかかわらず、両方ともが裁判で認定されているので混乱に拍車がかかっている。
警察はもとより、検察・裁判所もその矛盾に気がついてないのか、はたまた無頓着になっているのかは不明だが、
2つの状況を混ぜてはひとつの事故状況にはならず、またそうするわけにもいかず、どちらを採用するか決める必要がある。

繰り返しになるが、2つ事故状況とは、
1.現場見取り図から読み取れる事故状況、
2.目撃隊員の証言からみえる事故状況
である。
ここのサイトでは、数字がはっきり明示されている「現場見取り図」の方を警察・検察が主張する事故状況として検証している。
この考え方はこのサイトも、ブログの方でも、一貫させている。

もう少し具体的に述べると、
バスの出発タイミングが明確になっているのが「現場見取り図」の方であって、目撃隊員の証言ストーリーの方はあやふやだから採用するに値しないと判断した。
もちろん目撃隊員の証言の一部にも真実はあるだろうし、また逆に見分調書にも嘘が多くあるだろう。たとえそうであったとしても、警察・検察が主張してきたストーリーを検証しなければなにも始まらず、そうするには検証に欠かせない具体的数字などが明確になっている方を採用せざるを得ないということである。
以下、その調書をもとに警察・検察・裁判所が描く事故ストーリーを再現していく。

ほんとうなら、裁判に臨む前に警察内部で衝突ストーリーを統一しておくべきだった。
が、杜撰のままで目撃隊員が証言したので、矛盾が2重の意味で露呈してしまった。
恐ろしいことに、検察も裁判所もその矛盾を指摘することなく裁判を進めてしまった。

その矛盾を指摘したくプログラムを作った次第である。
 ■ シミュレーション・プログラムで実際に計算ができる --> こちら
 ■ そのプログラムの考え方を解説している --> こちら

衝突事故は現に起きているわけである。
だから、衝突しなかったという状況をアレコレ考察するのは合理的ではないので、昨日の検証ではあえて触れなかった。
そこでは、バスの動きだけにポイントを絞り、おのおのの目撃地点を通過するタイミングの視点で、衝突する状況を無理やり作って説明したともいえる。

で、きょうはさらに踏み込んで、目撃白バイの乗員の速度を要素に加えて、厳密に計算をしてみる。
そもそもこの地球上で、目撃者の動くスピード、もっと正確にいえば目撃白バイが移動するスピードによって事故白バイとバスが衝突するかどうかが変化することはあり得ない。
なぜなら、事故白バイの運転手もバスの運転手も独自の思いで運転をしているはずであり、それぞれのスピードとか発進のタイミングが相互に連携してくることはあり得ないからである。
その2者の間には、なんの関係も存在しない。

ところが、ところが、警察・検察・裁判所が作った高知白バイ事故ストーリーでは、そんなあり得ないことが現実に起きたこととして裁判が進められてしまった。
警察が作成した見分調書と目撃隊員1人の証言だけで全てが決められていることに、注目しなければならない。
Q.
だれが、事故白バイの速度を決めているか?
だれが、バスの発進タイミングと走行スピードを決めているか?

A.
その答えは、 178m北方で事故白バイを発見した目撃者である。
78.7m北方でバスの出発タイミングを決めた目撃白バイの位置である。そこには隊員が乗っていた。
くしくもこれらは同一人物だった。
おなじ人物であったことが決定的なポイントとなるのだが、現実には起きえないことが見分調書の上では起きてしまい、一見わかりにくくなっている。
実際には衝突事故は起きていて、しかもそれを証明したとされる見分調書が作成されたので、その調書を遡ることでしか事故を再現できない。
よって仕方なく取り組むことにした。

必然的に脳みその中でしか考えられない現実離れした作業をやらないといけなくなり、読者に余計な負担をかけることになることをあらかじめ了承いただきたい。
要約すれば、目撃白バイの走行スピードによって衝突が起きたり、まったくかすりもしない状況が発生することになるというこの世ではあり得ない状況が作り出される。見分調書から・・
バスの運転手の意志も目撃白バイの隊員の意志もすべて消された。見分調書が作成された時点で。
そして、目撃した隊員が乗っていた白バイが法定スピード(55km)で走っていたら事故白バイはバスの前方を素通りし衝突しなかったという珍現象になる。
すなわち、デタラメな目撃証言だったということになる。

このシミュレーションでは目撃白バイが180kmで走っていたとしたら事故白バイは衝突する。しかしそのような180kmというスピードはだれが考えても合理的だと思わず、たとえ誰かが主張したとしてもだれも取り合わないだろう。
結局、目撃白バイは法定速度で走っていたというところで落ち着かざるを得ず、裁判でもそう認定された。 が、この程度のスピードではかすりもしないという珍現象になるのである。
皮肉なことに、それによって、見分調書が作りものであるという結論が導きだされることになる。

※※ 衝突シミュレーションを計算するにあたり、道路を一直線とみなした。現実の道路は湾曲しているが大きな誤差にならない程度なので直線とした。 また、縮尺と位置関係は注意深く、忠実に作図した。ただし道路の幅員だけは縮尺と無関係になっている。
また計算にあたり小数点以下の処理をどうするかで微妙に数値が変化するのでご注意を。以下、ざっくりの計算をした結果である。


 

simulation_s.gif simulation.gif


  ■ シミュレーション・プログラムが使える --> ここ
  ■ そのプログラムの考え方を解説 --> ここ
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内容紹介
  ◎ジャーナリスト 大谷昭宏氏推薦

白バイは“黒バイ”か
地方局記者が執念で迫る

「これです」
被告の支援者が数枚の写真を取り出した。
路面には黒々とした二本の筋。
裁判で有罪の決め手となった、スクールバスの「ブレーキ痕」だ。

「このブレーキ痕は、警察が捏造した疑いがあります。これは冤罪ではありません。警察組織の犯罪です」

――二〇〇六年三月三日午後二時半頃、高知県旧春野町(現高知市)の国道五六号で、高知県警の白バイと遠足中のスクールバスが衝突し、白バイ隊員(二十六)が死亡。
バスの運転手、片岡晴彦さん(五十二)は現行犯逮捕された。
同年十二月には業務上過失致死罪で起訴され、翌二〇〇七年六月には禁固一年四カ月の実刑判決が高知地裁で下された。
その後、高松高裁、最高裁と判決は覆らず、二〇〇八年十月、片岡さんは獄中の人となった。

香川県と岡山県を放送エリアとする地方テレビ局「KSB瀬戸内海放送」。
同局の報道記者である著者のもとに突然、見知らぬ男性から電話が掛かってきた。
男性は、「この裁判は作られたものだ」と訴えた。
事件が発生した高知県のマスコミは、どこも耳を貸してくれない。
藁をもすがる思いで、かすかなつてを頼って県外の地方局の記者に連絡してきたのだ。

この一本の電話をきっかけに片道三時間半、著者の高知通いの日々が始まった。
法廷の場で結審されたとはいえ、不可解な点が多々ある高知「白バイ衝突死」事故。
本事件の闇を徹底的に追った渾身のルポルタージュ!

◎テレビ朝日『報道発 ドキュメンタリ宣言』の放送で大反響!
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