鹿児島・選挙違反 元県議ら12人 無罪確定へ
控訴断念 元県警トップ厳重注意
控訴断念の報告を受け、喜ぶ中山信一きん
(左端)ら=8日夕、鹿児島県志布志市で
二〇〇三年四月の鹿児島県議選で、公選法違反(買収・被買収)罪に問われた元県議中山信一さん(六一)ら十二人全員を無罪とした二月二十三日の鹿児島地裁判決について、鹿児島地検は八日、控訴を断念すると発表した。控訴期限の十日午前零時を過ぎた段階で被告全員の無罪が確定する。
これを受け、警察庁の漆間巌長官は、当時県警本部長だった稲葉一次・現関東管区警察局総務部長(五三)を本庁に呼び、捜査指揮や監督全般が不十分だったとして文書で厳重注意した。捜査指揮に関して県警トップが注意を受けるのは極めて異例。一方、県警も本部長名で捜査担当だった警部二人を厳重注意した。
また、同庁は刑事局長名で各都道府県警に「緻密(ちみつ)かつ適正な捜査の徹底」を緊急通達。国家公安委員会も同庁に対し、都道府県警への指導を確実に実施するよう求めた。
同地検の水沼祐治次席検事は記者会見で、中山さんが票取りまとめの買収会合へ出席することは物理的に無理とした地裁判決について、「(認定された)アリバイを覆すのは困難。証拠全体の吟味が不十分だった」と認めた。その上で「被告や関係者にご迷惑を掛けて申し訳なく思っている」と謝罪した。
警察庁の通達は、判決内容を踏まえ、捜査幹部に対して事件の全容を見極め、主体的、具体的に指揮するよう要請。その上で
@容疑者の境遇や性格に応じた取り調べ
A供述内容の吟味
Bアリバイなどの裏付け捜査の徹底
を指示した。同庁は捜査に生かすとして、各都道府県警に同事件の判決要旨を配布。今後開催する会議や刑事局幹部による特別指導などあらゆる場で指導、教育を徹底するとしている。
事件では、中山さんと妻シゲ子さん(五八)らが〇三年二月から翌月にかけ、同県志布志市の民家で計四回の会合を開き、住民十一人に現金計百九十一万円を配ったとして、十三人(うち一人は公判中に死亡)が起訴された。
しかし、鹿児島地裁は「捜査段階の自白は強圧的、誘導的な取り調べで引き出された可能性を払しょくできない」とし、全員に無罪を言い渡した。
警察の責任追及へ 被告ら
「勝ちました」 「おめでとう」。無罪判決を受けた元県議中山信一さん(六一)と妻シゲ子さん(五八)ら被告十二人は八日、互いに握手し喜びの表情を見せた。
鹿児島県志布志市の公民館で開かれた「祝う会」。「春が来た」と書かれた横断幕の前で、中山さんは「皆さんに一生懸命頑張ってもらった。ありがとう」とあいさつ。 被告や支援者住民一人一人と握手萱父わした。
シゲ子さんは「家族と離れ離れになったことなど、いろんなことが思い出されて涙が止まらなかった。真実は一つと信じてやってきて、今は大事業を成し遂げたという感じだ」と目を潤ませた。
藤山忠さん(五八)も「完全勝利がつかめた。この四年間、春がなかったが、きょうようやく春が来た」と無罪確定への喜びを口にした。
一方、警察に対する怒りは消えない。中山さんは「警察が手柄を立てるためにつくり上げた事件。なぜこうなったのか解明しないと事件は終わらない」。谷田則雄さん(六九)「わたしたちを苦しませた警察には罰を与えないといけない」と強く批判した。十二人の生活を大きく狂わせた事件。藤山さんは「国家賠償請求訴訟はもちろん起こす。警察の責任を追及しなければ四年間が無駄になる」と言い切った。
西日本新聞 2007年11月22日17時8分配信
浜田被告は踏み字行為を認めた上で「陵虐、加虐の行為を構成せず、違法性はない。(踏み字行為は)許容範囲内だ」と無罪を主張した。
浜田被告は紺色のスーツ姿で入廷。罪状認否では背筋を伸ばし「結果的に被害者に不快な思いをさせてしまい反省しているが、無罪を主張する」との書面を読み上げた。
読売新聞 2007年11月22日13時22分配信
浜田被告は罪状認否で、「踏み字行為を1回させたことは事実で、反省している」と事実関係を認めながら、「特別公務員暴行陵虐罪の陵虐や加虐的行為には当たらない」と無罪を主張。
弁護側は「違法性が認められるにしても公務員職権乱用罪に当たり、すでに公訴時効(3年)が完成している」と述べた。